罪のない人を破滅に追い込むインターネットテロ
先日、「成熟した社会を作る会」という市民団体が主催した情報通信倫理討論会で、インターネット被害の事例を語る発表者たちは終始涙をこらえることができなかった。
インターネットを使うことすらできない70歳の映画俳優ツイスト金氏は、4~5年前から数十か所に及ぶ自分の名前を盗用したわいせつサイトが乱立し、自分の人格はもちろん、家庭や生業にも打撃を受けたことを涙を流しながら訴えた。
金氏は「不法なわいせつサイト業者」というレッテルを貼られ、孫娘は学校で「おじいさんが裸の女を使って商売している」と嫌がらせを受けたという。
「深夜、知らない人が家に電話をかけてきて、『そんなに金が好きか』とけなしたときには、夫婦で抱き合って泣いた」と語った。
金氏は不眠症とストレスに悩まされ、顔が引きつる顔面神経症を患い、夫婦共にうつ症治療も受けたという。
放送やコマーシャルの出演依頼も途絶え、ナイトクラブでの仕事をも追われた金氏は、自殺を図るまでに至る。金氏は何回も告訴したが、その度に「処罰が不可能だ」と取り下げられたという。
完全に追いつめられた金氏のケースが決してひと事ではないのが、今のご時世だ。いつ、誰が、インターネットの「サイバー人民裁判」にかけられ、人格を破壊されるかわからない。
討論会が開かれた当日の朝刊にも、ある女子高校生が泥棒の濡れ衣を着せられて自殺するや、ネチズンが加害者の生徒の名前と写真を掲載し、“インターネット袋叩き”を加えてるという記事が載せられた。
サイバーテロの被害を受ける人のほとんどは、まともに反論する機会も与えられず、ありとあらゆる悪口といわれのない怨恨を一身に浴びる。ひどい場合、職場と社会生活をあきらめ、自ら命を絶つことすら考えるようになる
サイバー暴力が危険レベルを超えて久しい。
インターネットの持ち味を揺るがしかねない「インターネット実名制」を支持する動きが出ていることが、実態のひどさを物語っている。司法機関には、適用する法律が曖昧だとしてサイバーテロを放置することなく、苦しんでいる人々を積極的に救う姿勢が求められる。
根本的な解決策は、つまるところインターットユーザーの良識にかかっている。学校と家庭、社会が地道にインターネット倫理を教え、啓蒙し、身につけさせる、国家レベルの努力が切に求められる。
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