拉致被害者チェ・ウクイルさん、妻と感動の再会(下)
◆夫人のヤン・ジョンジャさん「犯罪以外はすべてやった」
江原道注文津に残された夫人のヤン・ジョンジャさんは、夫のチェ・ウクイルさんが北朝鮮に拉致された後、毎日3人の娘を連れ、まだ7カ月の息子を背負い、注文津の海辺に出ては夫の消息を待ち続けた。夫を失った悲しみに加え、情報機関が夫をスパイではないかと疑い、ほとんど毎日のように訪ねてきては調査と称する圧迫を加えた。
ヤンさんは1人で子供たちを育てるため、金を借りて魚売り、野菜売り、モチ売りなど、あらゆる仕事をし尽くしたという。しかし、夫が「アカ」(共産主義者に対する蔑称)の濡衣を着せられている以上、子供たちは学校に行くことも、軍隊に入ることもできなかった。結局、ヤンさんは78年ごろ夫の死亡届を提出した。
以後、ヤンさんはがむしゃらに働き、4人の子供を育て上げ、結婚もさせた。その間、98年に夫が生きているという消息が飛び込んできた。ヤンさんは、拉致被害者家族会の崔成龍(チェ・ソンヨン)代表(55)を訪ね、助けを求めた。政府に救出を要請しても動く様子がないので、自ら直接救出するしかないと判断したのだ。
そこでヤンさんは、夫の救出に必要な資金を準備しようとマンションの清掃を始めた。そうして毎月55万ウォン(約約6万9000円)の収入を得て、残った資金45万ウォン(約5万7000円)を夫のためにこつこつと貯めていった。
ヤンさんは「家族を食べさせるために船に乗り組んでいたところを拉致され、骨と皮だけになるほど苦労をした夫に比べれば、わたしの苦労など何でもない」と言いながら涙をぬぐった。
◆長い離別、短い再会、再びの別れ
「今別れたら、今度はいつまた会えるの? 死ぬ前にひと目会えるのかしら…」
たった3日間の再会を果たしたチェさん夫婦は3日午前、中国某所で再び再会の目途の立たない別れの時を迎えた。
「わたしを置いて、あなた1人でどこに行くの? わたしも連れていって」
チェさんは泣きたくなるのをぐっとこらえた。
「30年前に拉致されたことも悔しいが、ようやく脱出できたというのに、なぜ政府は助けてくれないの」
妻のヤンさんはチェさんの胸にすがり、泣き叫んだ。飛行機の出発時間が迫っても、ヤンさんはただ唇を震わせ続けるだけだった。
チェさんは「もはや、わたしにとって帰る所は韓国しかない。どうか1日でも早く韓国に行けるよう助けて欲しい」と哀願した。
中国=アン・ジュンホ記者
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