東北工程:変貌を遂げる「中国」と「辺境」の概念
「高句麗や渤海の歴史をはじめ、韓国古代史を自国の歴史の一部に組み入れようという中国の“東北工程”(中国東北部の歴史研究プロジェクト)は、数千年前から始まった“中国拡大プロジェクト”の延長線上にある」
東北工程の「根」を深く分析した貴重な研究書がこのほど出版された。韓神大学の安秉佑(アン・ビョンウ)教授を筆頭に、イ・ユソン(中国古代史)、イ・ソンジェ(高句麗史)、ノ・ギシク(北方民族史)、ユン・フィタク(中国現代史)氏ら研究者13人が執筆した「中国辺境の認識と葛藤」(韓神大学出版部)だ。この中では歴史を古代から21世紀までのマクロ的な視野で見ると、現在の東北工程問題は「中国」と「辺境」という概念をめぐり、変貌しながら拡大を続けた中華主義の断面、と位置付けている。
「中国」とは本来、漢民族が自身の文化地域を指した、極めて自己中心的な概念だった。これに対し、近代に作り上げられた概念である「辺境」は中国に政治的には属しているが、文化的には後れている周辺部を指す。漢民族において「中国」以外の地域はすべて「夷(未開の異民族)」で、これらのうち漢民族に征服された「辺境」は中国化すべき対象だった。
「中国」と「辺境」の概念は時代ごとに変わっていった。春秋時代には中原地域だけが「中国」だった。一方、呉・越・蜀などが「辺境」に該当したが、秦・漢統一帝国が登場してからは徐々に範囲が広がっていった。漢民族を征服した満州族の清は、強力な内地化政策を掲げ、「辺境」を拡大し次々と中国化していった。
これは現在の中国政府の「統一的多民族国家論」に通じている。1954年に採択された中華人民共和国憲法は「各民族が自治を行う地方は、いずれも分離不可能な中華人民共和国の一部分」と明言している。「中華民族大家庭」という旗印のもと、55の少数民族を統合しようとするこの「統一的多民族国家論」は、「現在の中国領土にかつて存在していた、あるいは今存在するすべての民族は中国の民族であり、彼らの歴史はすべて中国の歴史」という強引な論理だ。明らかに独立国だった韓国古代史の国々を、こうした論理により「中国少数民族の地方政権」と位置付け、今になって過去の「辺境」概念に組み込もうとする東北工程の試みは、まさに伝統的な中華主義を受け継ぐ「新中華主義」と言えよう。
中国が経験したソ連・インド・ベトナムとの国境紛争や海洋での領有権争い、大々的な西部大開発などは、「辺境」を拡大し、中国化しようという作業が終わっていないことを示している。安教授は本紙との電話インタビューで「“中国”という概念はまだ構築の過程にあり、動き続けている。異民族を“征服・教化”の対象とする概念は今もある」と語った。
ユ・ソクチェ記者
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