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リネージュ3:日本への技術流出疑惑の背景(下)

 ところが、パク元室長をはじめとする開発スタッフらは、同社の経営方針に不満を抱き始めた。同社に入社した開発担当者たちはこれといった業務を担当することなく、1年間「開発担当者研修室」で同社の社内文化をたたき込む教育を受ける。この「研修室」に所属する社員は、一時500人に達したという。

 「リネージュ」の開発スタッフらは、こうしたシステムが非効率的だと考え、会社側に開発専門の別会社を独立させることを提案した。自分たちが汗水たらして働いて稼いだお金が、目に見える成果を出せない海外向けのゲームや、これといった仕事もせずただ教育を受けるだけの開発担当者らの給料に使われていると考え、それが気に入らなかったというわけだ。

 そこで、パク元室長が開発スタッフを代表して金社長に会い、開発専門の別会社設立を求めた。これに対し金社長は、会社の経営権に対する「重大な挑戦」と判断し、パク元室長を解雇するとともに、開発スタッフ全員に在宅勤務を命じるという強硬手段をとった。

 在宅勤務を命じられた開発スタッフらはこれに抗議し、約90人が同時に辞表を提出した。これが後に会社の存立を脅かす重大な事態へとつながった。一斉に退社した開発スタッフらの大部分が、ネオウィズ社の創業者の1人であるチャン・ビョンギュ氏と手を組み、新たなゲームを開発するとの情報が流れたのだ。チャン氏はネオウィズ社を辞め、「1noon(チョンヌン)」という検索エンジン運営会社を立ち上げ、これを間もなくNHN社に売却し、数百億ウォンもの大金を稼いだ人物だ。このためNCソフト側は、パク元室長がチャン氏とあらかじめゲーム会社を立ち上げることに合意した上で、会社を辞めるための大義名分を得るために「別会社設立」を求めたものと判断した。

 パク元室長は退社した開発スタッフ約90人とともに、江南区ノンヒョン洞に事務所を構え、ゲームの開発を行っている。彼らは現在、どの会社にも所属していない。NCソフトを退社後、1年間は他のゲーム会社に移らないとの誓約書を提出したためだ。

 多くのゲーム会社は、社員が入社する際、「退社後すぐに同業他社に転職することはできない」という覚書を書かせる。最近、開発スタッフの相次ぐ離職がゲーム業界の最大の悩みの種となっているためだ。また、中核となる技術が同業他社に流出することを防ぐ意味もある。それでも、これまでは開発スタッフの離職が問題になるケースはほとんどなかったが、今回の事件によって、このような慣行もやめる方向に向かうとみられる。

 90人ものゲーム業界のスペシャリストたちが事務所を構え、ゲームの開発を始めれば、大金が転がり込むことは間違いない。NCソフト側は、この資金がチャン・ビョンギュ氏の手に渡っているものとみている。そこで、チャン氏に電話をかけ、この問題について問いただそうとしたが、一向に連絡が付かないという。また、開発スタッフらも、警察が捜査に乗り出して以来、外部からの連絡がつきにくい状況になっている。

 一方、技術の流出による被害額が1兆ウォンに達するという話は誇張だという指摘も出ている。オンラインゲームの製作技術は、既に誰もが応用できる平凡なものとなっており、プログラムの設計図が流出したわけでもないのに、被害額が余りにも大き過ぎるというわけだ。

 ゲーム開発会社にとって最大の資産は、中心となる開発スタッフだ。開発スタッフを管理し、きちんと仕事ができるムードや環境を整えることこそ最も重要なことだ。今回の「リネージュ3」の技術の流出をめぐる問題は、開発スタッフの待遇が最も良いことで知られる韓国最大のゲーム会社でも、開発スタッフの管理問題で頭を抱えているということを示すものといえる。

白剛寧(ペク・カンニョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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