【社説】子どもたちの前で親の命を奪ったとんでもない安全教育
消防隊員が小学生を対象に校内安全教育を実施している最中に、保護者2人が死亡するという残酷極まりない事故が起きた。学校側の要請で安全教育に参加した保護者2人ははしご車上のバスケットに乗っていたが、バスケットを支える鉄製のワイヤが切れたため24メートル下の運動場に落下した。目の前で母親が事故死するというせい惨な場面を目撃した小学生は、担任の教師にしがみついて「お母さんを助けて」と泣き叫んだという。
この事件により、被害者の子どもたちは言うまでもなく、事故を目撃した250人あまりの小学生たちは、一生忘れることのできないつらい記憶を背負うことになった。問題は、子どもたちに安全教育を行うとしておきながら、行事そのものが安全とはほど遠いものだったことだ。
事故は、人を乗せるためのバスケットを水平に保つよう支えるワイヤが切れたことが原因となって起きた。人命を直接支えるはずのワイヤが、消防署の定期点検項目にさえ含まれていなかったという。消防検証公社でワイヤの強度や張力を定期的に検査する必要があるが、検査が行われたことは一度もなかった。老朽化して問題が生じるまでは、とりあえず使ってみようという方針なのだろうか。まるで人を運ぶ機械で実験をしているようなものだ。
消防隊のガイドラインには、バスケットを使用する際には隊員が同乗し、地上にはマットレスを敷くよう明記されている。しかしこの日、バスケットには保護者しか乗っておらず、地上にもマットレスは敷いていなかった。またバスケットの中には安全ベルトも備え付けられていなかった。被害者らはバスケットごと落下したのではなく、バスケットがひっくり返ったために落下しており、安全ベルトさえ装着していれば、落下するのを防げた可能性もあった。
大韓民国は、軍でも戦闘機の不良部品をそのまま使用しておきながら日誌に「問題ない」と記録し、その揚げ句に戦闘機が墜落するような国だ。おまけに空軍は飛行機の整備予算2500億ウォン(約324億円)をほかの用途に使用していた。遊園地の遊具による事故で死亡者が出たため、遊園地側がおわびに無料開放するとしたところ、10万人もの人が殺到して数十人が負傷するという事故もあった。今回は市民の命や安全を守るはずの消防隊員が、教育の現場で何の罪もない人々の命を奪った。
こうしたとんでもない事件が起きるたびに、「安全不感症が招いた人災」という表現しか思い浮かばない現実が、何とも情けないかぎりだ。
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