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アスベスト:韓国初の損害賠償判決=大邱地裁

 アスベスト(石綿)の露出により死亡した労働者に対して企業側に損害賠償を命じる初めての判決が下された。アスベスト被害を認め、企業に安全管理義務に対する責任を問う初の判決であり、今後もこうした訴訟が相次ぐことが予想される。

 大邱地方裁判所民事52単独の金世鍾(キム・セジョン)判事は4日、アスベスト関連企業に勤務し、悪性の中皮腫(アスベストが原因で肺や胸膜などに生じる腫瘍)との診断を受け、2年間の闘病生活の末に昨年10月に死亡したウォン某さん(女)=死亡当時46歳=の遺族が会社側を訴えた損害賠償請求訴訟で、「会社側に1億3300万ウォン(約1461万円)の支払いを命ずる」と原告側一部勝訴の判決を下した。

 金判事は、「会社はアスベストの危険性を認識していたにも関わらず、労働者に対して保護用の作業服やマスク、手袋などをまったく支給しなかった。また、換気設備の設置やアスベストの危険性に対する安全教育も行わないなど、社員のための安全管理義務を怠った」と判決文を読み上げた。しかしその一方で、「アスベスト被害に適切に対処できなかった原告側にも10%ほどの過失が認められる」と付け加えた。

 ウォンさんは1976年から約2年間、アスベストを製造する釜山市蓮堤区蓮山洞のある企業の紡織部で勤務した後に退職したが、26年後の2004年にサムスン・ソウル病院で、「アスベストにさらされたことによる悪性の中皮腫」と診断された。その後、会社を相手取りおよそ2億1000万ウォン(約2300万円)の損害賠償を請求する訴訟を起こしたが、闘病生活の末に昨年10月死亡した。

 今回訴訟を担当したイ・ホチョル弁護士は、「悪性中皮腫などアスベストによる被害は潜伏期間が10年から40年と長いため、アスベストにさらされていた時期と発病時期の時間差が大きく、関係性を立証するのが難しい。今回の判決がアスベスト関連業務に従事していた労働者の被害救済に重要な判例となるだろう」と述べた。しかしその一方で、「アスベストによる被害は工場労働者だけではなく、アスベスト製品の使用者、工場周辺住民など、その範囲が広いため、政府次元での実態調査が急がれる」と指摘した。

 これまでのアスベスト被害に対する救済は不十分なものだった。2004年にウォンさんが勤労福祉工団から業務上の災害と認められたのが初めてであり、その後「悪性中皮腫」など一部の疾患についてのみ労災が認められたに過ぎない。

 大邱環境運動連合によると、過去7年間に韓国でアスベスト関連の疾病で死亡した患者は46人(肺がん28人、悪性中皮腫13人など)で、最近は釜山のアスベスト製造会社周辺住民の中にも中皮腫患者が発生していることが明らかになっている。潜伏期間が長い上に1960年代後半から本格化したアスベスト産業は今も各地で行われていることから、アスベストによる被害者は今後も増え続けると予想されている。

 大邱環境運動連合のク・テウ事務局長は、「政府は1日も早く、アスベスト被害者に対する救済法や特別法など具体的な対策に乗り出すべきだ」と主張する。

 韓国政府は今年7月に「アスベスト管理総合対策」を用意し、2008年に基礎調査を行い、09年から本格的な実態調査に乗り出すと発表した。

大邱=チェ・ジェフン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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