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【社説】政府の無策が招いた原油流出事故による環境破壊

 石油タンカー「フーベイ・スピリット号」の原油海洋流出事故で、忠清南道泰安沖が黒い油の海に変わり果ててしまった。上空から見れば、海苔の養殖場かと見間違えるほどだという。

 衝突により穴の開いたタンカーは9日朝、事故発生から48時間後にやっと穴を塞ぐ応急処置が終了した。すでに1万5000キロリットルの原油が流出してしまった後だった。泰安沿岸にはすでに50キロメートルに及ぶ油の帯が形成されている。油に覆われた海域は30キロメートル以上に及ぶ。海岸に押し寄せた油は、砂浜や岩を黒く染めている。長靴を履いても歩きにくいほど、粘着力が強いという。

 事故はえい航船2隻が海上クレーンを載せたはしけ船を仁川から巨済島にえい航していた際、はしけ船を固定していたワイヤが切れてしまったことが原因となって起きた。このはしけ船が流され、タンカーに衝突したのだ。タンカーの行き来が多い西海(黄海)・南海(東シナ海)では、悪天候の際に大型海上クレーンを移動させるときには特に細心の注意が必要だとされている。当時、大山海洋水産庁がえい航船に何度も無線でタンカーが停泊していることを知らせようとしたが、交信できなかったという。最初から事故が起きても仕方のない状況にあったということだ。

 事故が起きた地点やその周囲の海域では100隻以上の船舶と7000人以上の人が総出で油の除去作業に当たったが、2日間で回収できた油の量は数百キロリットルに過ぎなかった。被害拡大を食い止めるための初期作業は、失敗に終わったと言える。オイルフェンスも、高波にも耐える外海用のフェンスが不足し、波が打ち寄せる度に油はフェンスを越えて流れ出てしまった。

 また事故直後に当局が下した予想もことごとく外れてしまった。当局は油の帯が24-36時間後に海岸に到達すると予想したが、実際には13時間しかかからなかった。漁民たちは海岸で油をスコップですくい上げたり、吸着材で取り除こうとしたりしたが、焼け石に水だった。

 泰安一帯には400カ所以上の養殖場が存在する。養殖場に油が侵入すれば、商品価値はゼロになってしまう。また海岸国立公園に指定されている泰安海岸も、大きな被害を受けることは間違いない。

 米国では海洋大気圏局(NOAA)の下で国や州、地域単位で海洋汚染防止策のシナリオを詳細に規定している。原油流出事故が起きた場合、事故海域の風向や潮流などの要員を考慮し、汚染区域の拡大傾向を事前に予想して被害防止対策を立てるため、即座にオイルフェンスを設置する場所を決定することができる。日本でも全海域を十数の管区に分け、緊急対策を講じられる態勢を整えている。そして2日間に30万トンの油を回収できる態勢を敷いている。

 韓国では1995年に起きたシープリンス号の事故を受け、エネルギー経済研究院が対策を講じるための費用を試算したが、東海(日本海)・西海・南海にそれぞれ2500億ウォン(約303億円)ずつ必要だとの結果が出たため、事実上これを放棄してしまった。

 韓国の原油輸入量は年間8億9000万バレル(約1億2400万トン)に達する。その原油を運ぶため、西海・南海にはひっきりなしにタンカーが行き来している。中国から日本へ向かうタンカーも常に10隻ほどが通過している。韓国の近海がこのように混雑している中、原油流出事故がいつ起きてもおかしくない状況にもかかわらず、当局の対応は非常に初歩的な段階からつまずいてしまったというわけだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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