【社説】KAISTが自ら突き止めた論文ねつ造
韓国科学技術院(KAIST)は、2005年と06年に生命科学科の教授が国際学術誌の『サイエンス』と『ネイチャー・ケミカルバイオロジー』に掲載した論文がねつ造されたものだったことを発表し、この教授に自宅待機を命じるとともに、二つの学術誌の編集者にこの事実を伝えた。KAISTは近日中に開く予定の「研究の真実性に関する委員会」で、論文をねつ造した教授に対し、最も厳しい懲戒処分を下すことにしている。
問題の論文のうち、一つは2005年、細胞に含まれる鉄分やたんぱく質を、磁石の原理を利用して分離したという内容で、この技術を「魔術のようだ」という意味で「マジック」と名付けていた。また、もう一つは06年、細胞の老化を抑える物質を発見したという内容の論文だった。これらの論文は、KAISTの徐南杓(ソ・ナムピョ)総長をも「ノーベル賞も期待できる」と言わしめるほど、国内外に大きな衝撃を与えたものだった。結局、それがねつ造だったことが分かり、韓国の科学界は05年の黄禹錫(ファン・ウソク)事件に続き、またしても汚名を被ることになった。
だが、幸運だったのはKAISTが自ら論文のねつ造を暴いたということだ。最初に疑問を呈したのは、問題の教授の指導を受けている博士課程の学生だった。この教授が設立したベンチャー企業でも働いていたこの学生は、2年近くにわたって実験を繰り返したにもかかわらず、論文と同じ結果が表れなかったため、会社の上司に「論文はねつ造ではないか」と話した。KAISTの生命科学科は先月12日、この話を聞くや、その日のうちに学科内部に「研究の真実性に関する委員会」を立ち上げた。同委員会の委員5人と調査委員4人は、二つの論文の共著者や、問題の教授の研究室に所属する研究員らに対し、半月以上にわたり毎日夜12時まで調査を行った結果、論文の顕微鏡写真がねつ造であったことを突き止めた。
KAISTの「研究の倫理性に関する委員会」も先月29日、学科側から調査結果についての報告を受けるや、すぐに問題の教授に対し自宅待機を命じるとともに、外部の人を含めた調査委員会を立ち上げた。なお「研究の倫理性に関する委員会」は、黄禹錫事件を受けて設立された。黄禹錫事件では、論文の共著者は15‐25人、研究員は30人余りに上ったが、論文の問題点を指摘した人は誰もいなかった。大学と病院の「機関倫理委員会」は、黄教授の研究グループが1200個もの卵子を使ったにもかかわらず、その卵子を入手した経緯についての問題点を洗い出そうとしなかった。
今回の論文ねつ造が、もし外国の科学者によって突き止められていたならば、韓国の科学界は「黄禹錫事件の教訓を生かせず、学術論文の検証システムが機能しない、救いようのない状態だ」と後ろ指を指されていたに違いない。韓国の科学界に最低限の自浄能力があるということを示せただけでも、運が良かったのかもしれない。
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