【萬物相】北朝鮮向け植林事業
1976年10月、朝鮮労働党会議で金日成(キム・イルソン)当時主席は山を削り「段々畑」を作るよう指示した。「自然を改造し穀物をもっと生産せよ」という指示だった。傾斜度15%以下の斜面だけ木を伐採せよといったが、傾斜度60‐70%という「がけ」にまで段々畑が作られた。それからまもなく、山崩れや水害が起き始めた。金日成主席は4年後「やたらに木を抜いて段々畑を作ったら多くの土地が使えなくなる」と、自らの指示を覆した。
薪を得るための乱伐はその後も続いた。木炭車になったトラックを動かすため、木をやたらに切り、炭を作った。95年の食糧難を乗り越えるため、木の伐採が許可されると、おびただしい量の木材が中国に売られていった。2005年には木材生産量は729万立方メートルに達した。最近でも冬の駅には木を売買する市場が並ぶという。子供たちが木を一抱えずつ背負ってきて、一包みの食糧と交換する。
1999年、金正日(キム・ジョンイル)総書記は「金剛山を訪れた南(=韓国)の人々が“はげ山だ”というのが残念だ。李厚洛(イ・フラク)中央情報部長が特使として来た72年は、この山はもっとうっそうと木が生い茂っていた」と言ったそうだ。林野庁は去年国会に提出した国政監査資料で、北朝鮮の山林面積916万ヘクタールの18%に当たる163万ヘクタールが荒廃していると推定されることを発表した。ソウルの約27倍に相当する面積だ。
はげ山は水害を起こし、人間に復讐(ふくしゅう)した。1995年には100年ぶりの大洪水が襲い、被災者520万人と被害額150億ドル(現在のレートで約1兆5000億円)を出した。北朝鮮は99年になってやっとその深刻さに気付き、4月6日だった「植樹節」を3月2日に変え、植林10カ年計画を作成した。6億本の木を植えると発表したが、木は植えてから1年も経たないうちに薪になってしまうという。北朝鮮自身が解決するには限界に達しているのだ。
李明博(イ・ミョンバク)大統領は先週末、「北朝鮮の山林緑化にかかわる漸進的協力を今から勧めるべき。統一に備える意味もあるし、国土保全にもなる」と述べた。韓国政府は苗木や重機を送り、北朝鮮の住民に木を植えさせ、食糧を人件費として与えるという。現代経済研究院も先週、8億ドル(約800億円)を投じ、北朝鮮に植林事業をさせれば、30年後には4000億ウォン(約40兆円)の収益が上がるという報告書を出した。地球温暖化規制国際協約である京都議定書により、木を植えるほど温室効果ガスを排出できる「二酸化炭素排出権」も得られるということで、北朝鮮の植林事業は「一石三鳥」になるというわけだ。
キム・ホンジン論説委員
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