米議員も感動、脱北者扱った映画『クロッシング』(下)
ワシントンで試写会
また、苦労の末に韓国に入国したヨンスがブローカーから妻の死を知らされ、「どうしてイエス・キリストは南にしかいないのでしょうか。北朝鮮はどうして見捨てられたのでしょうか」と泣き叫ぶ場面でも、多くの参加者たちが涙を流した。そして、ブローカーが苦労して見つけ出した息子ジュニが父親と電話で話し、「お父さん、ごめんなさい。お母さんを守れませんでした」と泣き崩れる場面では、会場のあちこちから嗚咽(おえつ)が聞こえた。韓国でがむしゃらに働いて金を稼いだヨンスは、ジュニを北朝鮮からモンゴルへ脱出させたが、ジュニはモンゴルの砂漠で道に迷い、結局息絶えてしまう。ジュニの遺体を抱きかかえて泣き叫ぶヨンス…。
客席の一番後ろで映画を見ていた脱北者のアン・イノクさんは声を上げて号泣した。2003年に北朝鮮を脱出した後、中国の公安に追われた末、13歳の息子リ・ミョンジュ君と生き別れた自らの経験が、映画のストーリーとあまりにもよく似ていたからだ。人目を忍んで涙を流していたほかの参加者たちも、この場面ではみな声を上げて号泣した。試写会は午後5時に終わったが、参加者たちはしばらく立ち上がることもできないほどだった。
デニス・ハルピン下院議員は「『アンネの日記』がナチス・ドイツのユダヤ人大虐殺(ホロコースト)を告発したように、この映画は北朝鮮の数百万人の人々の惨状を全世界に訴える力作だ。到底理解できない北朝鮮の悲劇をまざまざと見せ付けるものだ」と述べた。また、北朝鮮人権委員会のピーター・ベック事務局長は「北朝鮮に関する映画の中で、最もよくできた作品だ。多くの人たちがこの映画を見て、北朝鮮の実情を少しでも理解することを望む」とコメントした。エド・ロイス下院議員の公設秘書ヨン・キムさんも「今や脱北者たちの苦痛を取り除くべき時だ」と述べた。
『クロッシング』を制作した在米韓国人でユニティ・メディア社長のパトリック・チェさん(43)=韓国名チェ・デフィ=と、シナリオを書いたイ・ユジンさん(38)は「北朝鮮の実情をありのままに知らせるため、韓国に来た脱北者数百人に会って話を聞き、また中国でも多くの北朝鮮人と直接会った」と述べた。一方、この日の試写会を主催したNKFLのナム・シヌ副会長は「在米日本大使館からは4人が参加したのに、在米韓国大使館からは一人も来なかった」と残念がっていた。
ワシントン=崔宇晢(チェ・ウソク)特派員
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