【社説】MBC狂牛病報道は米国産牛肉排斥運動
MBCの人気番組『PD手帳』は、4月29日放映分のタイトルが「米国産牛肉は果たして安全なのか」というものだった。その内容は「韓国人の94%が狂牛病の発病を誘発する遺伝子を持っており、感染する可能性は英国人や米国人の2倍から3倍に達する」というもので、さらに「米国産牛肉を食べるのは、まさに動物実験が行われるようなもの」という米国の消費者団体関係者の証言も紹介した。
その後インターネット上には、『PD手帳』で放映された内容が、「脳にさくさく、穴がゴツン」「狂った牛」「国民抹殺政策」などと皮肉られながら広まっている。中には「米国産牛肉を食べるくらいなら、青酸カリを飲んだ方がマシ」とあるタレントが書き込んだほどだ。
今回のPD手帳による騒動は、テレビが何らかの意図を持って世論を導こうとすると、その社会的影響がいかに大きくなるかを示している。映像と音声で同時に訴えることのできるテレビは、視聴者の考えや感情をアイロンで皺(しわ)を伸ばすかのように瞬時に変えてしまう。テレビの強大なパワーは、暴力へと一変する可能性を常に秘めているのだ。
しかしテレビで放映された「米国産牛肉の怪談」には、あまりに誇張されたとんでもない内容が多かった。1億頭の牛を育てている米国で、これまで狂牛病にかかったのが明らかになったのはわずか3頭だ。1頭はカナダから輸入されたもので、残りの2頭は1997年に狂牛病の原因となる肉骨粉の飼料が禁止される以前に生まれたものだ。100万頭の牛を飼育し、その中から狂牛病にかかった牛が10頭みつかった日本での発生率のほうが、米国よりもはるかに高いのだ。
本来「生後30カ月までの牛」のみ輸入を許可していた月齢制限を今後は撤廃し、「30カ月以上の牛」の肉も近く輸入されることになったことから、韓国も狂牛病のリスクに直面するようになった、という批判も同じようなものだ。米国で食用となる牛の97%が月齢20カ月未満で、30カ月未満かどうかで区別するのはほとんど意味がない。また米国産牛肉の90%以上が米国国内で消費されている。3億人を超える米国人と、250万人の在米韓国人や留学生も、実際にその牛肉を食べているのだ。
世界で狂牛病に感染したのは207人だ。英国が166人で最も多く、それ以外の国の感染者も英国での生活経験を持つ人たちが多い。感染した3人の米国人も同様だ。『PD手帳』は米国で最初に狂牛病の感染者が疑われた事例について紹介していたが、それも公式に確認されたものではない。
それでも「米国産牛肉には狂牛病の細菌が蔓延している」というとんでもない誤解が治まる気配を見せないのは、韓米自由貿易協定(FTA)に反対する勢力が「狂牛病のリスク」を大々的に取り上げ、米国産牛肉の輸入反対と反米感情の刺激を巧妙に狙っているからだ。狂牛病の心配をするふりをして、実際は「米国産牛肉排斥」のキャンペーンを行っているということだ。韓国の国民は世界で最も高価な牛肉を食べている。生活が苦しい人たちが牛肉の価格を目にすると、驚いて手が引っ込んでしまうほどだ。今や消費者のことを本当に考える、真の消費者運動の登場が待ち望まれる時だ。
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