米補佐官も涙した映画『クロッシング』の制作背景
6月5日に韓国で公開されるこの映画を制作したのは、韓国系米国人のパトリック・チェ(43)=韓国名:チェ・デフィ=ユニティメディア社長。チェ社長はこの日の試写会に出席した米議会補佐官らに完ぺきな英語で『クロッシング』の制作背景などを説明した。
チェ社長は先月30日に記者のインタビューに応じ、「脱北者の実像をありのままに見せたかった。公開の保障はなかったが、制作を続け、作品として実を結んだ」と語った。そして「国民の基本的な衣食住も解決できない北朝鮮の体制は、幸せな家庭をバラバラにし、“家族は一緒に暮らすべき”という当然の命題を崩壊させている現実を告発した作品」と説明した。
チェ社長は4年前、脱北者を描く映画の制作に立ち上がった。ニューヨークで「高麗書籍」を経営していた父、チェ・ウンピョ韓米自由守護運動本部代表の影響も大きかった。キム・テギュン監督と、脚本のイ・ユジン氏は説得できたが、投資してくれる人がいなかった。政治色を排除するため、韓国政府や脱北関連の市民団体からは一切、制作費の支援を受けなかったことも、財政的な負担を増やした。
だが、3人は脱北者数百人に会ったり、中朝国境の中国・延辺まで行って北朝鮮の住民からその実態を直接聞いたりして、台本作りに奔走した。イ・ユジン氏は脱北者に関するドキュメンタリーだけで約100本を見て、4年間かけ『クロッシング』の台本執筆に専念したそうだ。すると奇跡が起きた。制作費40億ウォン(約4億2000万円)を投資するという会社が現われたのだ。その後、紆余(うよ)曲折を経て、中国やモンゴルでロケを行った。
米国の名門、コロンビア大学コンピューター工学科を卒業したチェ社長は映画に魅了され、家族の反対を押し切り、1990年にハリウッドに進出、これまで映画12本を制作・監督した。チェ社長が監督した映画のうち、キアヌ・リーブスが主演した『ザ・ウォッチャー』は米国で興行1位を記録した。
チェ社長は「この映画を見て、多くの人々が人権弾圧を受けている北朝鮮の現実に関心を持ってほしい」と話している。
ワシントン=崔宇晢(チェ・ウソク)特派員(文・写真)
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