漢陽、京城、ソウル…その裏にあるものは
チョン・ウヨン著『奥深きソウル』(石枕)
単に「オソプショ」とだけ聞くと、「オソ オシプシオ(いらっしゃいませ)」を縮めた言葉のようだが、一方で「オソ オシオ(いらっしゃい)」を軽くひねった表現のようでもある。この言い回しが狙っているのは、曖昧さと不確実さだ。これは主に、ソウルの人の中でも商人層が一般的に使っていた話し方だった。18世紀以降、身分制を核心原理とした中世都市の中世的性格が解体されていくのに伴い、都市は現在の「匿名性」の空間へと変わり始めた。身分制の中から生じた尊敬語は、都市を徘徊(はいかい)する匿名の存在を前にして深刻な混乱に見舞われた。商人は身分が分からない人も相手にしなければならないため、こうした「混合」型の尊敬語を話すようになったというわけだ。
「ソウル」とはどういう意味なのか。著者はそれを「高くそびえた垣根」と説明する。神に最も近い都市、神聖な空間でありながら、政治・文化・芸術の中心地でもある。この本の副題は「ソウルの時空間に対する人文学的探査」だ。韓国の近現代史を専攻し現在はソウル大学病院の病院歴史文化センター教授を務めている著者は、ソウル市立大学付設ソウル学研究所で10年以上もソウル史を研究した。彼はソウルの隅々まで過去と現在を探索し、既存の歴史学でほとんど扱われていなかったソウルの裏事情とその意味を暴き出した。そのために、土木学や文化人類学など他分野の学問との学際研究を試みた。
本書でしか見ることができないソウルという空間が持つ意味は、非常に深い。茶山・丁若鏞(チョン・ヤギョン)の『与猶堂全書』にある「里は尊い名前で、洞は卑しい名前だが、今は風俗が反対になり人々がソウルの地名をすべて“洞”と書く」という記述には、どんな意味があるのか。著者は次のように解釈する。すなわち、「里」とは、整然と区画されまっすぐ道が伸びた空間を表現する象形文字で、朝鮮初期には道を平坦に、まっすぐ作っていた。しかし歳月が流れ、徐々に小さな家が道を塞ぐようになっていった影響で、曲がりくねった細い道と行き止まりになった路地が空間を占めるようになった。これがまさに、「里」が「洞」に変わったという話の実体だという。
兪碩在(ユ・ソクジェ)記者
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