企業秘密、記憶しているだけでも転職NG?
社員が会社の情報を「記憶」しているだけでも、それが「企業秘密」であれば、一定期間同業他社への転職を禁ずる、という裁判所の判断が下った。
ソウル中央地裁民事合議50部(李東明〈イ・ドンミョン〉判事)は20日、BITボムウ化学技術研究所が提出した「元研究員のキム某氏(31)がライバル企業に就職し会社の秘密を流出させているため、仕事ができないようにしてほしい」という仮処分申請を受理したことを明らかにした。
キム氏は2002年に入社し、同研究所が独自開発した「A特殊溶液」の開発業務を担当、07年にライバル企業に転職した。退職する際、キム氏は研究所にあった技術資料や書類を一切持ち出してはいないが、裁判部は「この溶液は5種類の成分および配合比率などに関する記憶だけでも製造が可能だ。キム氏は当初入社した研究所と約定した通り、2年間は同業他社に就職することができない」との決定を下した。
とはいえ、社会人全てに対し同業他社への転職が制限されるわけではない。裁判所は、職場で自ら体得した業務能力やノウハウは、会社が所有するものではなく社員本人のものだと認定している。
ソウル中央地裁の裁判部は20日、医学専門大学院向けの予備校として有名なキムヨンPMS学院が、同学院江南校の院長を務めていたユ某氏(38)ら二人が新たに設立された同種の予備校「メガMD」の院長へと移ったため二人を相手取り申し立てていた転職禁止の仮処分申請について、これを却下した。
キムヨンPMS学院は、二人が「合格者の分析資料、カリキュラムや教材、各大学の入試関係者リストなどを、競争相手の予備校に移った後に活用している」と主張した。しかし裁判部は、「ユ氏らが持っている知識は、自ら体得した知識・経験・取引先との信頼関係などであり、会社固有の秘密とみなすことはできない」とした。ユ氏らは、キムヨンPMS学院と『退職後1年以内は同業界で仕事をしない』との契約を交わしていたが、裁判所は「憲法で保障された職業選択の自由と勤労権を過度に制限するため無効だ」と判断した。
自分自身の「能力」ではなく会社が持つ「高度な情報」を手段として転職することだけが「公正競争」の原則に抵触する、というのが裁判所の判断だ。
リュ・ジョン記者
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