Print this Post Article Lists Back

韓国女性射殺:北朝鮮側の対応は正当だったのか

 金剛山特区内で韓国人女性観光客パク・ワンジャさん(53)を銃で撃ち死亡させた北朝鮮側哨兵の行為は、果たして正当なものだったのか。韓国側の目撃者が全くいない状態で、北朝鮮側の主張だけを並べてみても、事件の原因についてしっかり検証すべき点が幾つかある。

 まずは、北朝鮮の哨兵がどれくらいの距離から銃を撃ったのか、ということ。パクさんを最初に検死したソウル束草病院はこの日、「パクさんは、胸部と臀部(でんぶ)に各1発ずつ、計2発の銃弾を受けていた。直接の死因は、銃弾が背中から右胸にかけて貫通し肺に血が溜まったことによる呼吸困難」と発表した。北朝鮮軍は、有効射程距離300メートル前後のAK‐47「アーカー歩銃」を使用している。また同日北朝鮮側が行った韓国側への通報には、「パクさんが哨兵の停止要求にも関わらず逃走し…」という内容がある。総合すると、北朝鮮の哨兵は、人の声が聞こえる近距離から銃を撃った、という結論に至る。調査結果によっては、「故意」もしくは「過剰」の如何をめぐり大きな批判が起きる可能性がある部分だ。

 また、当時の時間帯や周辺に観光地があるという点などを考慮すると、北朝鮮側の哨兵は「無断侵入者」を韓国の観光客と認識できた、という指摘もある。

 政府の発表によれば、事件が起きた時刻は(11日)午前5時ごろ。江原道地域の軍関係者は、「この日、東海岸地域の日の出時刻は午前5時12分だった」と語る。だとすると、午前5時ごろには、かなり遠くからでも人の輪郭はもちろん、男性なのか女性なのかを識別することができる。軍関係者は、「日の出の40分くらい前の時刻をBMNT(beginning morining nautical twilight、第2黎明時刻・航海薄明開始時刻)と呼ぶが、この時、太陽はまだ水平線の下にあるものの日は照っており、人の輪郭は認識できる」と語った。加えて当日の月光(旧暦6月9日)はかなり明るく、海水浴場周辺だったことを考えると、人の姿がはっきり見えたはずだ。

 パクさんが哨兵の要求を無視して逃げ出したというが、民間人に向け銃を撃つ行為はひどいのではないか、という点も取り上げるべき部分だ。ある軍の専門家は、「韓国軍であれば、軍事地域に進入し逃走する民間人に発砲しなかったはずだ。停止命令や空包を用いた警告射撃を行った後、非常待機部隊が出動し、相手を逮捕して身元を確認しただろう」と語った。

 一方法曹界では、今回の事件に国際法を適用し北朝鮮側に哨兵の処罰を要求することは難しいと見ている。韓国の憲法上北朝鮮は正式な国家ではない上、今回の事件は南北当局の間で起こったことではなく、民間企業である現代峨山と北朝鮮当局の間で起こった事件だからだ。南北当局の間には、こうした事件が起こった場合に備えた補償規定もなく、パクさんに対する北朝鮮側からの補償を期待することも難しい。

 検察関係者は、「補償を受けようとするならば、北朝鮮や北朝鮮軍を相手に民事訴訟を提起しなければならないが、北朝鮮は韓国の憲法上『反国家団体』であるため、訴訟の提起自体が不可能だろう」と語った。

張一鉉(チャン・イルヒョン)記者

【ニュース特集】金剛山で韓国人観光客射殺

NEWSIS/朝鮮日報日本語版
関連記事 記事リスト
このページのトップに戻る