Print this Post Article Lists Back

【社説】観光客を殺害しておきながら謝罪せよと言う北朝鮮

 北朝鮮で金剛山観光事業を担当する「名勝地総合開発指導局」は12日、金剛山観光客殺害事件について「責任は全面的に南朝鮮側にある。南朝鮮は明確に謝罪し再発防止策を立てよ」という談話を発表した。さらにそれ以外の談話の内容も「われわれは今回の事件を遺憾に思う」というわずか一言を除いては、すべて「(金剛山観光の中断は)われわれに対する挑戦であり、我慢できない冒瀆(ぼうとく)」などの非難一色だった。

 へ理屈を言うにしてもこれほどのものはない。北朝鮮には常識が通用しないことは何度も経験してきたが、この事件と談話こそはまさしくその通りだ。今回の事件は北朝鮮の武装兵士が観光地で普段着を着た韓国人女性観光客を背後から射殺したものだ。南北が閣僚級会談で合意の上に署名まで行った「金剛山地区への立ち入りと滞在に関する合意書」では、北朝鮮側が韓国人観光客の身辺の安全を保証することになっている。観光客が法に反する行為を行った場合には、これを中止させた上で調査を行うという手順を踏むよう定められている。ところが北朝鮮は最初から銃撃を加えてきたのだ。

 北朝鮮は死亡したパク・ワンジャさんに関しては、兵士が空砲を放った上で銃撃を加えたと説明している。しかし目撃者によると銃声は2回しか聞こえなかったという。つまり警告射撃などは行わなかった可能性が非常に高いのだ。北朝鮮はパクさんが早朝4時30分にホテルを出て、1.1キロを歩いて海水浴場のフェンスにまで到達し、さらに1.2キロの距離を歩いて軍の哨所(しょうしょ)にまでやって来たと主張している。そこで「止まれ」という命令に応じず、やって来た方向に1キロほど逃亡したので午前4時50分に銃弾を受けたというのだ。

 北朝鮮の説明が正しければ、パクさんはわずか20分の短い時間で足を取られやすい砂浜を3.3キロも進んだことになる。移動速度は時速9.9キロということだ。健康な若者が平地で非常に速いペースでジョギングを行ったとしても時速8キロから9キロだから、要するに北朝鮮の言い分は話にならないということだ。この北朝鮮の談話からは、責任逃れをするために虚偽の発表を行っているという印象を持たざるを得ない。事実を明らかにするためには、韓国の調査団が北朝鮮の哨兵に対する聞き取り調査と現場検証を行うしかないが、北朝鮮側はこれらの現場検証などを拒否している。

 北朝鮮は「韓国側が謝罪し、再発防止策を発表するまでは観光客の受け入れを拒否する」とも発表した。ここまで常識も通用せず、また善良な観光客の命まで奪うような場所に、年間数十万人が一人80ドル(約8500円)にもなる入国料を支払って観光するということからして、まさしく異常なことと言わざるを得ない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る