【ルポ】本物と贋作が共存する北京の絵画店

- 北京の潘家園にある絵画店には有名画家の岳敏君のコピー作品が飾ってあった。小さな湖を描いた絵は日本円で1000-2000円ほどで販売される。/北京=朴敦圭(パク・ドンギュ)記者
骨董品市場がある北京市の潘家園で20歳ぐらいに見える従業員は無愛想な表情で語った。店の入り口から内部に至るまで中国モダンアート界の巨匠として知られる岳敏君(46)の作品で埋め尽くされていた。岳敏君の油彩画には今年、香港のオークションで5408万香港ドル(約7億6000万円)の高値が付いた。歯をむき出しにして笑う男を10年にわたって描き、米アートプライス・ドット・コムで2007年の売れっ子画家ベスト5に選ばれた。
ところが、五輪開催都市である北京の路地では、その岳敏君のコピー作品が2000-3000円も出せば買える。従業員は「岳敏君に中国人は特に関心を持っていないが、外国人観光客がたくさんやってくる」と話した。コピー作品は江蘇省にある「絵画工場」で生産され送られてくるという。従業員は張暁剛、曽梵志など他の画家の作品も注文すれば半月で届くと語った
中国のモダンアートが国際舞台で注目を浴び、スター芸術家が生まれると、安物のコピー作品が大量生産される。芸術分野でも本物と偽物が共存している。米国による中国絵画輸入は1996年から2004年の間に3倍に増えた。安価な絵画が必要なコンドミニアムやレストランが主要顧客だ。
300に上るギャラリーやアトリエが密集する北京市の「大山子798芸術区」には、五輪開催中に毎日1万人の観光客が訪れている。同芸術区は閉鎖された工場に芸術家が入居した文化特区。煙突がそのまま残っている軍需工場の内部をギャラリーに改造した「オーレンス現代美術センター」では、岳敏君の油彩画『幸福』、画家・程昕東のギャラリーでは彼の作品『ガベージ・ヒル』と出会うことが出来た。もちろん本物だ。
岳敏君の絵に描かれた男は最初は幸せそうに見えるが、ずっと眺めていると感想が変わってくる。岳敏君本人も「笑いは必ずしも幸せを意味するものではない。他の何かを示すこともある」と語っている。美術評論家らはそれを現実に対する冷笑、または「仮面」と解釈したりする。岳敏君の絵画に込められたそんな意味が本物と偽物が奇妙に共存する中国の現実を連想させる。
大山子798芸術区で出会ったオーストラリア人観光客のマリー・スチュワートさん(41)は「コピー作品でもレベルが高く、だまして売らなければ構わない。本物と偽物、両極端のものにそれなりの需要があるという点で中国は二つの顔を持った美術市場だ」と離していた。
北京=朴敦圭(パク・ドンギュ)記者
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