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女スパイ:太陽政策10年、軍も安保に無警戒(下)

◆教育担当将校を取り込む

 元正花容疑者は執拗(しつよう)に韓国軍に接近を図り、成功した。部隊での講演を続けることで把握した将校の個人情報や部隊の位置は、手帳に細かくまとめられた。将校に会うたびに名刺を求め、受け取った。

 こうして確保した将校100人以上の名刺や個人情報、写真などは、中国にある北朝鮮の国家安全保衛部に送られた。将校の名刺に書かれていた電子メールアドレスに対し、中国国内からハッキングがあったことも後の捜査で明らかになった。将校7‐8人が元正花容疑者の攻略対象になった。同容疑者は結婚情報会社に「軍人を紹介してほしい」と頼み、紹介されたキム少佐と交際し、軍事機密を盗もうとした。同容疑者に取り込まれた将校が軍内で担当する職種も衝撃的だ。元正花容疑者と一緒に暮らし、その正体を知ってからも当局に通報しなかった容疑で逮捕されたファン大尉は、軍で将兵の精神教育を担当する将校だった。

◆定着金 900万円受け取る

 元正花容疑者は、自身を「命を懸けて北朝鮮から脱出した脱北者」と偽った。後に、その理由について「工作活動中に北朝鮮の言葉を使っても疑われる可能性が小さいから」と語ったという。

 01年11月に偽装自首した同容疑者には、翌年3月に韓国定着金2200万ウォン(現行レートで220万円)が一時金として支給されるなど、定着金・生活費名目で合計9090万ウォン(約900万円)支給された。

 検察関係者は「脱北者が急増しているのに伴い、その中に直派スパイが混じっている可能性もこれまで何回か指摘されてきたが、今回やっと初の摘発となった。韓国の対共産主義システムは事実上、太陽政策(対北朝鮮融和政策)などで10年間ストップしたままだった」と話す。

 これについて、元脱北者のキム・ソンミン自由北朝鮮放送代表は「今回の事件で脱北者社会によくない影響があるのではと懸念している。脱北者の中にスパイがいると認識するよりも、スパイが脱北者を装ったと言う方が正確」と語っている。

崔宰赫(チェ・ジェヒョク)記者

【ニュース特集】北の女スパイ・元正花

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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