7月31日付で本紙は、インターネットなどを通じて広く拡大した「放射能汚染デマ」の真偽について報じた。福島原発の事故以前に登場した奇形植物の写真が日本の原発の影響だと誤って報じられるなど、誤報も多かった。しかし、原発汚染デマが誇張されて広まったからといって、デマの根底に潜む人々の不安がでたらめで根拠ないものだと思っているわけではない。

 2011年3月に発生した東日本巨大地震による福島原発事故は、現在進行形だ。7月22日に東京電力が「放射性物質で汚染された水が海に流れ込んだ」ことを認めたほか、これについて何らの対策も講じてこなかった日本政府がようやく事故の収拾に乗り出した。事故が発生した福島原発の核燃料棒は、2022年ごろに撤去作業に取り掛かるものと予想されている。日本国民はいうまでもなく、韓国国民も不安を抱きながら暮らしていかなければならない。福島原発は隣国である韓国も常に神経を使い「防御体制」を整えていくべき「活火山」なのだ。

 原発汚染をめぐるデマは拡大し、メディアでも報じられるようになったことから、7月31日に韓国の首相室の主催で対策会議が開かれた。ところが、同日開催された同会議は「デマ」よりも驚きだった。「朝鮮日報がデマの真相を把握し、同日の朝刊で報じたため、韓国政府はこれ以上措置を取る必要性がない」とし、会議はわずか1時間で幕を閉じたとの裏話があるのだ。食品医薬品安全処、海洋水産部(省に相当)、原子力安全委員会など関連部署が全て出席したため、会議後は福島原発の状況や各種の疑問点について、専門的で科学的な説明を盛り込んだ資料が出されるものと期待していたが、各部署がそれぞれ公開した報道資料は、デマ拡大を抑えて国民の不安を洗い流すには依然として不十分だった。

 同会議が開催される前の警戒態勢は、さらに緩かった。日本の原発事故が1周年を迎えた昨年上半期までは関連部署が作成した福島に対するその後の報告書が見られたが、2年後の時点ではそれさえも見られなくなった。科学官が派遣された在日韓国大使館のホームページには、日本の放射能関連情報が今年わずか1件しか上がっていない。対策会議の開催後の8月5日になって「日本全国の空間放射線量および放射性物質の漏出状況」に関する二つ目の資料をようやく掲載した。

 原子力の安全を総括する機構として2011年10月に発足した原子力安全委員会は、昨年12月末の会議を最後に今年に入って一切会議を開催していない。8月5日になってようやく非常任委員の構成を終えた始末だ。これに先立ち、今年5月には原子力安全委員会のイ・ウンチョル委員長が東京で開催された第32回「国際原子力規制者会議(INRA)」に参加したというが、原子力安全委員会のホームページには福島の後続措置について論議したというその会議内容も、イ委員長が直接訪問したという福島原発についての情報も、掲載されていなかった。「イ委員長が日本を訪問する」と書かれた報道資料が全てだった。韓国よりも遠く離れた米国原子力規制委員会(NRC)は、公式サイトのトップページに「日本から学ぶ教訓」というコーナーを設け、福島原発の事故をきっかけにNRCが講じた措置を項目別、年度別にまとめ、詳しく公開している。

 それでも定期的に情報を公開してきた部署は、食品医薬品安全処と原子力安全技術院だったが、リアルタイムに「放射性物質の数値」を確認するためには原子力安全技術院に、日本産水産物の放射能汚染について確認するためには食品医薬品安全処のホームページに、それぞれアクセスしなければならない。福島原発事故と関連した各種情報と対応措置を各部署が共同で収集し、随時アップデートすると同時に、どの関連機関にアクセスしても国民が全てを確認できるよう部署同士の仕切りをなくすべきだ。こうして総合的な情報を提供することが、それほど難しいことなのか。

 「放射能汚染デマ」が韓国社会の不信をあおるのか、あるいは安易でやる気のない政府が不信をさらにあおるのか、判断が難しいところだ。

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