韓米首脳会談の合意文発表から一日しか経っていないのに、その結果をめぐりさまざまな声が飛び交っている。特に、トランプ政権が新たなアジア・太平洋戦略として提示した「自由で開放されたインド太平洋(Indo-Pacific)戦略」という概念について、韓国大統領府が9日、「我々は同意しない」とコメントしたことから波紋が広がり始めた。大統領府は同日、異例なことに一日3回もこの問題について釈明したが、波紋は広がり続けている。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領のインドネシア訪問に同行している大統領府の金顕哲(キム・ヒョンチョル)経済補佐官は同日午前の記者懇談会で、「日本はインド・パシフィック(太平洋)ラインだと称して日本・オーストラリア・インド・米国をつなぐような外交的ラインを構築しようとしているが、我々はそこに編入される必要がない」と述べた。

 しかし、前日に発表された韓米共同発表文の第1項には、「トランプ大統領は相互信頼と自由・民主主義・人権・法治など共同の価値に基づいた韓米同盟が、インド太平洋地域の安全保障や、安定と繁栄のための重要な軸であることを強調した」という文言があった。主語はトランプ大統領だったが、韓国が同意しないという内容はない。

 この発言をめぐりざわめきが聞こえていることから、大統領府関係者は現地で釈明に乗り出した。だが、この関係者も「(インド太平洋戦略は)我らが文在寅大統領は事実上、初めて聞く概念であり、我々が合意文から外すことにしていたものだ。トランプ大統領が『参加してほしい』と言ったことであって、我々が同意したことではない。日本が推進し続けてきた問題であり、現在の国際情勢や周辺環境を考慮すると、参加するのは望ましくないと考えている。提案そのものが唐突だ」と述べた。

 だが、ホワイトハウスは先月16日、アジア歴訪計画を発表した際、「(トランプ)大統領は自由で開放されたインド太平洋地域に対する米国のビジョンを提示するだろう」と言っていた。トランプ政権が新たなアジア戦略を提示したものと受け止められており、駐米中国大使も先月30日、「いかなる国も中国をけん制できない」と敏感に反応していた。

 この戦略に日本が関与しているのは事実だ。2007年にインドの専門家が日本との協力を論じた際、初めて「インド太平洋」という用語を提示しており、安倍首相も同年、インド議会で「自由で繁栄するインド太平洋」をテーマに講演した。その後、米国・日本・インド・オーストラリアのように中国の軍事的台頭を懸念する国家間で結束を強化し、中国をけん制しようという構想に発展した。ところが、外交消息筋は「今、この概念が注目されているのは米国の政策になったためだ。日本が関与した概念だとして度外視はできない」と語った。

 ざわつきが収まらないことから、大統領府は同日夜、担当記者団にテキストメッセージ送り、あらためて釈明した。大統領府は「インド太平洋地域という概念は、我々が推進している外交の多角化政策に相通じる部分もあるが、共通の戦略的目標を推進していく上で適切な地域概念であるかについて、さらに協議が必要だ」と説明した。「同意しない」から「まだ同意していない」に変えたのだ。

 韓米首脳会談の成果として発表された米国製武器の韓国への販売問題でも温度差がある。首脳会談直後、大統領府関係者は「原子力潜水艦に関連している部分もあるし、最先端の偵察資産も含まれている。この2つは今後、緊密に協議していく予定だ」と述べた。原子力潜水艦・E-8・地上偵察機・無人偵察機「グローバルホーク」などを導入する可能性があると見られているが、マーク・ナッパー駐韓米国大使代理は9日、「お二人(両大統領)は一般的な話をした。F-35戦闘機は注文が完了しており、我々は攻撃ヘリコプター『アパッチ』とイージス・システムの2つを韓国が購入することを望んでいる。今後話し合うのは対潜哨戒機P8ぐらいだ」と語った。しかし、これらの武器は前の政権から購入話が進められていたものだ。

 また、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは7日(現地時間)、「中国に屈する韓国」という題の社説で「文大統領の最近の言動は、彼が『信頼できない(unreliable)友人』であることを物語っている」「文大統領はより広い地域で米国の政策に反対しており、ミサイル防衛(MD)に対する中国の圧力に屈した」と書いた。

 一方、韓国の与党関係者の間からはトランプ大統領の国会演説に対して不満が相次いでいる。文正仁(ムン・ジョンイン)大統領特別補佐官(統一・外交・安保担当)は同日、「統一ニュース」創刊17周年の基調演説で、「(トランプ大統領の)国会演説は北朝鮮を完全に悪魔化するものだ。核問題と人権問題を同時に前面に押し出し、北朝鮮を孤立させる」「対話と外交的解決のための問題妥結には難しいと言える」と述べた。国会外交統一委員会で委員長を務める沈載権(シム・ジェグォン)議員=共に民主党=は「(トランプ大統領は)金正恩(キム・ジョンウン)体制は悪党体制だとか、北朝鮮社会は地獄だとかいろいろ非難した」と、同党の李秀赫(イ・スヒョク)議員は「北米接触に冷水を浴びせるかもしれない要素もある」と言った。

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