今年3月、朴槿恵(パク・クンへ)大統領(当時)に対する憲法裁判所の弾劾審判言い渡しの数日前、SBS放送は「国家情報院(韓国の情報機関。国情院)が憲裁を相手に弾劾関連の動向を違法査察した疑惑がある」という記事を「特ダネ」として報じた。国情院幹部が弾劾についての各裁判官の見解を把握し、大統領府(青瓦台)など上部に報告したという内容だった。

 報道からわずか数時間後、民主党の文在寅(ムン・ジェイン)大統領候補はフェイスブックに「大統領弾劾審判を前に、国情院が憲裁を相手に違法な政治情報収集を行ってきた状況が明らかになった。黙過できることではない。このデリケートな時期に、よりによって憲裁相手に違法行為を働こうとしたという発想自体、驚愕(きょうがく)すべきもの」「またも大統領選挙に介入しようというのか。国情院を完全に改革すべき理由がさらに明確になった。積弊清算の目標が一層はっきりした」と書き込んだ。国情院と憲裁は「査察は不可能」として報道を否定したが、文在寅陣営と民主党は国会情報委員会の招集を要求し、波状攻撃に乗り出した。文候補の支持者も「国情院を手入れしよう」と結集した。

 ところが10月30日、文在寅政権が作った国情院改革発展委員会がこの事件を調査した結果は、正反対のものだった。改革委は、報道資料を通して「査察を行ったといえるほどの資料・文献は発見されず、(国情院の)憲裁担当官が憲裁関連の報告書を作った事実はなく、実際に憲裁へ出入りした事実はない」「査察疑惑が事実と認められるほどの事由は発見されなかった」と表明した。

 文大統領はもちろん、大統領府にいる文在寅陣営関係者の誰も、これについて説明をするつもりはないとみえる。むしろ、国情院に対する積弊清算作業は徐々に拡大しつつある。当時疑惑を最初に報じた記者は、現在大統領府で行政官として働いている。

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