「行こう、北へ。来れ、南へ」というスローガンに、4・19世代(李承晩〈イ・スンマン〉大統領を下野させた1960年4月19日の四月革命を担った世代)は胸躍らせた。それまで反共の壁に阻まれていた統一の議論が、革命を契機に噴出した。北朝鮮に振り回される感傷的民族主義という批判もあったが、38度線で断ち切られた民族を一つにすべきだという情熱が若者を捉えた。

 1980年代の民主化デモの先頭に立った386世代(1990年代に30代で80年代に大学に通った60年代生まれの世代)も、民族という単語に熱狂した。彼らの中には、北朝鮮の主体思想と統一方式に従おう、という人間も多かった。しかし最近の20代30代はかなり異なる。住民を飢えさせ、核と大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発し、化学兵器で白昼堂々テロを起こす北朝鮮に対して反感を抱いている。平昌オリンピックを「平和オリンピック」にしたいと言って北朝鮮の顔色をうかがうのに忙しい韓国政府のことが気に入らない。南北統一チームをつくるという理由でアイスホッケー女子代表チームの選手が不利益を被るのは公正ではない、と考えている。南北の選手団が共同入場するのに伴い太極旗(韓国の国旗)が消え、「韓半島(朝鮮半島)旗」を振ることへの不満が湧き上がっている。

 およそ3000人の会員がいる、ある大学生団体で、「平昌オリンピックの開会式で太極旗を振ろう」という話が持ち上がったという。ソーシャルメディアでは「平昌で太極旗を振ろう」という書き込みが増えており、韓国大統領府(青瓦台)ホームページの請願掲示板にも「2月9日、みんな一緒に太極旗を持ちましょう」という書き込みが登録された。あるネットユーザーは「開会式の日、太極旗のたこを揚げよう! 開会式の上空に太極旗のたこが揚がれば、世界中に太極旗が放送される」と記した。ある人は「開会式の日、車に太極旗を付けよう」と提案し、また「オリンピック期間、各自の家で太極旗を掲げよう」とも唱えた。

 平昌オリンピックを「平壌オリンピック」と皮肉る、「平昌遺憾」というタイトルのラップがネット上で広まっている。「太極旗を降ろして韓半島旗を揚げる/メダル圏でなきゃ北朝鮮が先/公正さと希望なんてものお前らにはない/…/全世界があざ笑う平壌五輪なんて嫌」と韓国政府を批判する。悪口まみれで偏向している、との指摘もあるが、動画サイト「ユーチューブ」ではたった数日で再生回数が60万を超えた。「サイダー(のように爽快)」「気分がすっきりする」といったコメントが多い。

 「保守政権の10年間、若者はきちんとした統一教育を受けられなかった」という与党関係者の発言が、こうした動きに火を付けた―という声もある。20代30代は「私たちは哨戒艦『天安』(爆沈)と延坪島(砲撃)を直接目撃した世代」と反論している。詩人の柳致環(ユ・チファン)は、風に吹かれ翻る旗を見て「声なき叫び」と表現した。太極旗を振りたいという叫びの意味を韓国政府が理解しているのかどうか、分からない。

 

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