1月21日の日曜日、午前2時。スマートフォン用の航空機追跡アプリ「FLIGHTRADAR24」に、非武装地帯(DMZ)付近を飛行する航空機が捕捉された。DMZ付近は飛行禁止区域で、国連軍司令部の承認がなければ飛べない特殊な地域だ。

 このアプリに捕捉された航空機は、在韓米軍の「RC7B」偵察機だった。平沢のキャンプ・ハンフリーズに配備されているRC7BはしばしばDMZ付近を飛行し、北朝鮮の長射程砲など前方地域の北朝鮮軍の動きを監視している。しかし、日曜日早朝の偵察飛行というのは異例だ。

 軍の偵察機が隠密裏に動いている様子を民間のスマホアプリでも把握できるのは、電波発信機で基地局に所属と位置を伝えているからだ。これは、航空機の偶発的な衝突を防止するための措置。このアプリにより、1月に入って米軍の偵察機が異様に強硬な北朝鮮偵察活動を行っている様子が明らかになった。沖縄の嘉手納基地を発進したRC135戦略偵察機、在日米軍基地を発進したEP3電子偵察機、E8「ジョイントスターズ」地上監視・偵察機などが何度も韓半島(朝鮮半島)に出動し、監視活動を繰り広げた。

 北朝鮮が平昌オリンピック参加を宣言した後、韓国政府が対話の流れを強調するのとは全く異なる動きだ。それだけではない。米国が昨年末から実施している訓練や兵器の配備は、立体的かつ全方位的だ。単なる武力の誇示や「ショー」的な性格が強かったこれまでとは性格が異なる。

 ところが、有事の際に米軍と共に合同作戦を展開しなければならない韓国軍の雰囲気は懸け離れている。まるで、北朝鮮に対する先制攻撃(予防攻撃)など最悪の軍事オプションは韓国とは関係なく、米国と米軍の問題であるかのように考えているような様相だ。現在の韓国軍首脳部の関心は、もっぱら戦時作戦統制権の韓国軍移管などの国防改革と兵力削減、いわゆる積弊清算などに向けられている。

 米軍が強調している「ファイト・トゥナイト」とは隔たりがある状態だ。「ファイト・トゥナイト」は、今晩早速戦争が起きてもきちんと戦える戦闘準備態勢を強調するフレーズ。実際、今後数カ月のうちに米国の先制攻撃があって北朝鮮が長射程砲による報復攻撃を行ったら、現在の作戦計画上、ソウル市民は北朝鮮の砲弾を3日間浴び続けなければならない。韓国首都圏を脅かす北朝鮮の長射程砲は340門以上(坑道はおよそ50カ所)という事実を考慮すると、韓国国民としては受け入れ難い計画だ。有事の際に北朝鮮首脳部を除去する特殊任務旅団の中心的な潜入手段たる改良型CH47ヘリの配備も、2023年以降でないと実現しない。

 常識的にのみ考えれば、北朝鮮の核問題の悪化に伴って実際に戦争が起こる可能性は極めて低い。トランプ大統領も、金正恩(キム・ジョンウン)委員長も、戦争を望んでいないからだ。生まれつきの実業家たるトランプ大統領が、巨額の費用がかかって米軍の人命被害を招く韓半島での戦争を良しとするはずがない。金正恩委員長も、現在享受しているぜいたくを丸ごと失う全面戦の挑発を安易に敢行するほど愚か者ではない。

 だが少なからぬ数の専門家が、偶発的な戦争の可能性を懸念している。大変な人命被害を招いた第1次世界大戦の当事者らは、当初は戦争を望んでいなかった。最近の韓半島、とりわけ北朝鮮の核問題が米中戦争を誘発する導火線になりかねない、と警告する専門家の指摘も相次いでいる。

 ハーバード大学ケネディ・スクールの学長をおよそ10年務めたグレアム・アリソンが米中戦争を警告した『米中戦争前夜』や、早くに小説『THAAD』を書き、「神々しい趣がある」とまで言われる小説家・金辰明(キム・ジンミョン)の『米中戦争』も話題だ。

 1月中旬に韓国と日本を訪れた米国連邦議会のある議員は「米軍は『決して戦うことがないことを望む』と言う一方で、単なる訓練の段階を超えて作戦準備態勢に突入する備えをしている」と語った。韓国の現政権と国民に果断さが足りないせいにする前に、国防部(省に相当)の宋永武(ソン・ヨンム)長官や合同参謀本部の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)議長など韓国軍首脳部に尋ねたい。韓国軍には果たして今、「ファイト・トゥナイト」する意思と能力はあるのか。

 

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