▲「ここに助けに来て!」――東京・港区にあるビルのガラス窓には赤い逆三角形の表示が付いている。火災など非常時にはここから救出してほしいという意味だ。/東京=イ・ドンフィ特派員

 忠清北道堤川市でのスポーツセンター火災、慶尚南道密陽市での病院火災では、犠牲者の大半が炎ではなく、脱出口が見つからずに煙で窒息した。死者数がそれぞれ29人、39人という大惨事だった。消防隊員も出火した建物のどこから進入すれば効果的な救助ができるのかわからず、救助の「ゴールデンタイム」を逃してしまった。仮に建物ごとに非常口の外の窓のどこかに社会的なルールで救助窓の表示をしておけば、避難する人も消防隊員も速やかに動くことができたはずだ。日本はそうした手法を法令で義務付けている。集合住宅などには火災時に下の階へと避難できる「避難ハッチ」を設置してある。

■「非常時はここに」
 東京・港区の10階建てのビルには各階のガラス窓の一つに赤い逆三角形のステッカーが張ってあった。建物の外から目に付きやすいところにあり、三角形の一辺は20センチメートルのアクリル製だ。この表示は火災や地震などの非常時に消防隊員が救助のために建物に進入する場合の「消防隊進入口」を意味する。外部から見れば赤い三角形であり、内部から見ると「消防隊進入口」という文字が書かれている。どういう用途なのかは一目瞭然だ。

 日本の建築消防法は高さが31メートル以下の建物の3階以上の部分にこの表示をガラス窓に付けることを定めている。ビル関係者は「火災が起きたり、地震が発生したりして、救助が必要な状況となれば、ここで待機したり、ガラスを割って、脱出シューターで脱出することができる」と説明した。周辺に立ち並ぶホテル、マンション、商業ビルにも同じステッカーが張ってあった。

 消防隊進入口の表示には厳格な設置基準がある。幅75センチメートル以上、高さ120センチメートル以上のガラス窓で床から80センチメートル以内の位置に取り付ける必要がある。差し迫った状況で目に付きやすく、人間が出入りできる大きさの窓に付けなければならないという意味だ。この表示がある窓には網入りガラスや強化ガラスは使用できない。日本は地震が多いため、強化ガラスを使用するケースが多いが、この窓は非常時に消防隊員が速やかに割って進入しなければならないため、強化ガラスは禁止してあるのだ。この表示がある窓の下には非常口と同様、脱出の妨害となる机や棚などを置いてはならない。物を積んでおくことも禁止されている。

■避難ハッチで下の階と接続
 集合住宅などには非常時のために上の階から下の階につながる「避難ハッチ」も設置されている。記者が住む4階建てのマンションのベランダの床にも縦横60センチメートルの四角形の避難ハッチがあった。「非常時以外は開かないこと」「避難ハッチの周辺に物を置かないこと」という警告とともに、絵入りで使用法が書かれている。

 避難ハッチを開けると、折りたたまれていた長さ2.5メートルの鉄製のはしごが下の階へとつながった。はしごはやや揺れたが、7-8秒で下の階に下りることができた。建物の管理者は「消防法でアパートやマンションには2-3世帯に1カ所ずつ設置が義務付けられている。消防当局が年1、2回、避難ハッチ周辺に物を置いていないかなどをチェックする」と話した。住民は「ベランダは共用部分だという認識を持っている。洗濯物は干すが荷物は置かない。避難に使わなければならないからだ」と語った。

 避難ハッチのそばには軽量の蹴破り戸が設置されている。隣戸とベランダを仕切る薄い板だ。非常時にはそれを破り、隣戸のベランダに避難できるように「非常時には足で蹴破り逃げてください」と書いてあった。この板を生産する業者は「2-3回たたいたり、蹴ったりすれば、20秒以内に人が通れるほどの穴が開くように設計されている」と話した。韓国のマンションにも1992年以降建てられたものには設置されているケースが多い。日本の全国避難設備工業会は「マンション入居時には避難ハッチや蹴破り戸の位置や使用法を確認してもらっている。住民同士が協力し、避難はしごを下ろしてみたり、板を破ったりする練習もする」と説明した。

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