サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の釈放により、サムスン・グループはリーダーシップの空白がひとまず解消された。李氏不在だったこれまでの1年間、サムスン電子は形の上では成長を続けたように見えるが、その中身は完全な足踏み状態だった。半導体やスマートフォンの次を担う新たな成長分野を発掘できず、世界の巨大企業を中心に進むビジネスの合従連衡でも蚊帳の外だ。過去には毎年3-4社は海外企業の買収を行ってきたが、これもここ1年間は全く進んでいない。M&A(企業の合併・買収)や新分野への進出など、オーナーでなければできないような経営上の決定も当然全て中断した。数年後には間違いなくその影響が少しずつ出始めるだろう。

 サムスン電子は昨年過去最大の業績を記録したが、しかし専門家の多くは「サムスン電子は危機的状況」と指摘する。サムスン電子の今の好調な業績はあくまで過去の経営がうまくいった結果であり、将来を保証するものではない。とりわけ半導体分野は世界的な好景気にも恵まれた。つまり今の業績は3-5年前の攻撃的な投資が実を結んだ結果ということだ。スマートフォンや薄型テレビなども2000年代の初めから投資を行い、世界トップクラスになった。短くて数年、長ければ十数年前に投資した半導体やスマートフォン、薄型テレビが今ではサムスン電子全体の営業利益のほぼ全てを占めている。つまり今目に見えているのはサムスン電子の過去だ。

 ところがサムスン電子が誇るこれら3大事業分野も今や限界に近づきつつある。半導体などは早ければ今年の後半から世界的に需要が減少するとみられている。「半導体崛起(くっき、頭角を現すこと)」を国のスローガンとして推進している中国企業の追い上げも激しい。スマートフォンやテレビの世界的シェアも下落しつつある。中国やインドなどの巨大市場ではすでに中国企業に1位の座を奪われた。しかも新たな成長分野はいまだに発掘できていない。唯一の新規事業とみられる電気自動車分野はまだ目に見える実績がない。このような状況が今後も続けば、たとえサムスン電子といえどもたちまち坂道を転げ落ちてしまうだろう。

 韓国の輸出全体でサムスン電子が占める割合は20%を上回っており、中でも半導体は12%に達している。それだけサムスン電子が韓国経済に占める立場や役割は絶対的だ。サムスン電子が苦戦すれば、韓国経済全体が打撃を受ける。サムスンの社訓には「事業報国」という言葉がある。今後は李在鎔・副会長を中心に第4次産業革命分野で新たな成長動力を生み出さねばならない。政界もこれ以上企業を自分たちの政争に巻き込んではならない。

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