平昌五輪の開幕が近づくにつれ、五輪の舞台であるはずの平昌が、「韓国・北朝鮮」と「米国・日本」が鋭くぶつかり合う国際政治の舞台に変質し始めている。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、妹の金与正(キム・ヨジョン)氏を派遣して五輪を自身の体制宣伝の場にしようとしている。対北朝鮮制裁をめぐる国際社会の協調を無力化するという実益も一部手にした。五輪に参加する見返りに、韓米合同軍事演習の永久中止まで要求している。これに対抗し、米国と日本は同盟の固い絆を誇示し、今回の五輪を北朝鮮に最大限の圧力を加えるチャンスと見ているようだ。北朝鮮の参加によって「平和五輪」になることを期待していた韓国政府の立場は、北朝鮮と米日の間で徐々に狭まっている格好だ。

■要求を徐々に増やしてくる北朝鮮

 五輪に参加することで「韓国に恩恵を与えた」と考えている北朝鮮は、連日のように韓国に「請求書」を送りつけてくる。五輪参加の見返りとして北朝鮮が要求してくることは、いずれも対北朝鮮制裁をめぐる国際社会の協調を揺さぶる内容だ。「馬息嶺スキー場での合同練習にチャーター機を飛ばしてほしい」「万景峰号で訪韓するので燃料を供給してほしい」などだ。7日には高官級代表団のメンバーに、国連安全保障理事会の制裁対象リストに名前が載っている崔輝(チェ・フィ)党中央委員会副委員長を加えた。

 北朝鮮はこの日、韓米が防衛目的で毎年実施している合同軍事演習についても、永久中止を要求した。北朝鮮の労働新聞は7日「(平昌五輪後に)大規模な(韓米)合同軍事演習を再開するならば、再び厳重な破局状態に戻らざるを得ない」と威嚇した。韓米は毎年2月に実施していた軍事演習を今年は五輪閉幕後に延期したが、五輪が終わっても演習を実施するなと脅迫してきたわけだ。

■米日は「五輪を機に北朝鮮への圧力を極大化」

 平昌五輪の開幕式に出席する米国のペンス副大統領は7日、来韓に先立ち日本を訪問し、安倍晋三首相と会談して北朝鮮への圧力を強調した。韓半島(朝鮮半島)で開催される五輪を機に、国際社会に北朝鮮の核問題の深刻さを認識してもらおうというわけだ。ペンス氏と安倍氏はとりわけ、米国と日本に韓国を加えた3か国が北朝鮮への圧力強化のために引き続き連携していくことが重要だとも強調したという。南北関係改善に集中する韓国政府に対し、「韓国は(北朝鮮と米日の)どちら側につくのか」と迫ったようなものだ。ペンス副大統領は訪日に先立ちアラスカ空軍基地に降り立った際にも「韓国を訪問する間、北朝鮮政権の実情を伝えることに注力する」と述べた。

 このような状況下で、日本は2015年の韓日慰安婦合意を問題視する韓国政府の態度を、(国際常識に反するとして)国際社会にアピールする戦略だ。安倍首相は既に「五輪で文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談して慰安婦問題について話し合いたい」と公言している。

■北朝鮮と米日の間に挟まれた韓国

 政府は五輪を開催するに当たり、すでに対北朝鮮制裁を一部解除し、韓米軍事演習も延期した。しかし北朝鮮の要求は日に日に増加し、米日の北朝鮮への圧力も強さを増している。一方で韓米軍事演習に関する韓国政府の態度はあいまいになっている。つい先日まで「五輪が終わったら通常通り実施する」(崔賢洙〈チェ・ヒョンス〉国防部報道官)と説明していたが、5日の国会質問では、李洛淵(イ・ナクヨン)首相が「五輪を目前に控えた時点で(演習)再開の話が適切なのかどうか」と述べ、明確な回答を避けた。

 韓国政府は基本的に、北朝鮮の五輪参加が米朝対話につながることを期待している。強引な北朝鮮の要求をほとんど聞き入れているのもそのためだ。しかし米国は冷静だ。来韓中のジョセフ・ユン米国務省北朝鮮担当特別代表もこの日、世宗研究所で関係者らと会い「米国が先に(北朝鮮に)手を差し出すわけにはいかない。米国が先に対話のテーブルにつく可能性はゼロだ」と主張した。

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