北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)党中央委員会第1副部長を含む北朝鮮の高官級代表団が9日、専用機に乗って仁川空港から韓国入りする。代表団は9日に専用機で平壌を出発し、西海(黄海)直航路を経て午後1時30分ごろ仁川空港に到着する予定だという。韓国統一部(省に相当、以下同じ)が8日に明らかにした。

 しかし金与正氏などの訪韓は、さまざまな制裁の趣旨に反する要素を数多く抱えている。このため、韓国政府が北朝鮮の執拗(しつよう)な「制裁無力化攻勢」に押され、国際的制裁体制を弱めているという批判は続くものとみられる。

■「首脳級」の待遇で制裁の意味薄れる
 北朝鮮の高官級代表団の一員になっている金与正氏は、米国の独自制裁の対象だ。韓国政府は、米国の独自制裁の対象者は米国内の資産凍結などの措置を受けるだけであって、韓国訪問に問題はないとみている。しかし、米国が「人権じゅうりん」の容疑で金与正氏を制裁したのは、「レッテル効果」を狙った措置だ。

 その金与正氏をめぐり、韓国大統領府(青瓦台)は「首脳級」の儀典を計画している。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10日、北朝鮮の高官級代表団と接見し、昼食を共にする予定だ。キム・ウィギョム大統領府報道官が8日に明らかにした。この昼食会の席で、金与正氏などが金正恩委員長の親書を渡すかどうかも関心事になっている。ただし、北朝鮮圧迫の目的たる非核化や人権改善に進展がないにもかかわらず制裁対象者に首脳級の待遇を行った場合、制裁効果が弱まることは避けられない。国連安保理の制裁によると、北朝鮮乗客の所持品を含め北朝鮮との間を行き来する全ての貨物を徹底して検査しなければならないが、北朝鮮の高官級代表団にこうしたことができるのかどうかも疑問だ。

 金正恩委員長は、旧ソ連製のアントノフ148とイリューシン62という2種類の専用機を持っている。統一部の当局者は9日、「(金正恩委員長の専用機は)制裁対象ではないと考えている」と語った。しかし2016年12月、韓米両国は北朝鮮の「高麗航空」に対する独自制裁案を同時発表し、米国が指定した制裁対象には専用機の機種も含まれていた。米財務省は当時、高麗航空が北朝鮮の全ての民間航空機を所有・運用しているとして、専用機問題にも言及した。

 北朝鮮が、芸術団を万景峰92号に乗せて海路(6日)、応援団を京義線の陸路(7日)で送ったのに続き、高官級代表団を空路で送ってくるのも、制裁による国際的孤立から抜け出すための決定とみられている。北朝鮮の専用機は9日に仁川航空から北朝鮮へ戻り、11日夕に再びやって来て高官級代表団を乗せていく予定だ。この場合、平壌-仁川間を2往復する航空燃料の供給も問題になる。民間航空機の海外給油は安保理制裁の例外だが、分量の制約がある。

■相次ぐ韓国政府の「例外」要請
 金与正氏と共に高官級代表団の一員となっている崔輝(チェ・フィ)党副委員長兼国家体育指導委員長は、米国の独自制裁対象であるとともに安保理の「旅行制限」制裁対象でもある。韓国政府は7日(現地時間)、国連安保理の北朝鮮制裁委員会に、崔輝氏に対する制裁を訪韓中は一時猶予してほしいと要請した。安保理の理事を務める15カ国の中に反対する国がなければ、例外は承認される見込みだ。

 昨年6月に崔輝氏など14人が安保理の制裁対象に指定された際、韓国外交部は「(制裁案の)満場一致での採択を支持する。制裁対象の新規指定は、北朝鮮非核化に向けた国際社会の断固たる意志をあらためて確認したもの」とコメントしていた。

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