19日に行われた平昌冬季五輪のスピードスケート女子団体追い抜き(チームパシュート)で、韓国は8チーム中7位で準決勝進出を逃した。このレースをめぐって韓国国民の怒りが噴出している。レースは終盤でメンバーのキム・ボルムとパク・チウが先行し、最後尾の盧善英(ノ・ソンヨン)は大きく遅れた。これについて、キム・ボルムはインタビューで「3分ぐらいなら満足していた。(パク)チウと私は(2分)59秒だった。思ったよりタイムが良かったが…」と言った。この発言をめぐって「最後尾の選手のタイムで順位が決まる『チームパシュート』の基本を忘れた発言だ」との指摘が出た。

 女子団体追い抜きのチームワークの崩壊は予想されたことだった。メンバーの盧善英は今年1月、メディアに対し「代表チームで一度も一緒に練習していない」と話した。大韓スケート連盟と代表チームが自らチームの融和を図る姿勢は見られなかった。チームの不和は最悪の形で五輪の舞台で表出した。韓国大統領府(青瓦台)のウェブサイトの請願コーナーには「キム・ボルムとパク・チウの国家代表資格を剥奪せよ」という投稿があり、1日で30万人以上が賛同した。代表チームで何があったのか分からないにもかかわらず、集団での批判・報復が始まってしまったのだ。代表チームのペク・チョルギ監督とキム・ボルムは事態を収拾するために20日に記者会見を開いた。

 今回の問題は「内部の問題の自力解決に失敗→外部に明るみに→社会問題化→集団的報復→遅れて事態収拾」とチーム内外の摩擦がどんどん増幅していった。韓国社会の根深い問題を象徴的に示しているといわれている。

■メンバーの不和を解決しなかった代表チーム

 盧善英とスケート連盟の対立が明るみに出たのは先月、連盟の手違いによって盧善英の平昌五輪出場がかなわなくなった直後だった。連盟が五輪出場規定をよく理解せず、盧善英は個人種目での出場権を逃したが、その後団体追い抜きにも出場できないということが発覚した。盧善英は選手村を追われる羽目になり、自身のインスタグラム(写真共有サイト)で連盟を非難した。

 その後盧善英は、ロシア選手がドーピング問題で出場できなくなったことで、1500メートルへの出場権を獲得して代表チームに復帰したが、歓迎はされなかった。対立を解消してチームをつくり上げるという雰囲気はなかった。ある実業団の指導者は「メダルの可能性がなくとも、体系的な練習をさせ、選手たちが再び仲良くやれるようサポートすべきなのに、連盟やコーチ陣はその役割を果たさなかった」と指摘した。

 その間、チームの不和はさらに拡大した。キム・ボルムはマススタートという五輪新種目の候補として別途練習に取り組んでいた。盧善英が自分について、まるで特別扱いの選手のように表現したことについて、不快な思いをしていたという。

 レース後も「チームワーク」は見られなかった。盧善英はゴールすると座り込んでうなだれ、涙を流し続けた。しかし、他の二人は遠く離れたところに立っていた。オランダ人のコーチだけがそばで盧善英をねぎらった。

■怒る国民、遅れた事態収拾

 レース直後、インターネットでは両選手に対する怒りが渦巻いた。両選手のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のアカウントには「五輪の舞台でいじめごっごをするとは、頭おかしいんじゃないのか」「開催国の国家代表が国に恥をかかせた」などのコメントが殺到。両選手のアカウントはすぐに非公開に変更された。青瓦台のウェブサイトの掲示板には「キム・ボルム、パク・チウ両選手の資格剥奪とスケート連盟の厳重な処罰を望む」という投稿があり、すぐに賛同者が30万人を超えた。

 騒動はキム・ボルムのスポンサーにも飛び火。スポンサーのフェイスブックやインスタグラムには「スポンサーを取りやめなければ不買運動を実施する」「人をよく見てスポンサーになれ」などのコメントが1万件以上も書き込まれた。スポンサー側は「キム・ボルムとのスポンサー契約は今月28日に終了する。契約延長はしない予定」と説明した。

 ペク監督とキム・ボルムは20日に事態収拾のための記者会見を開いたが、対応が遅すぎた。社会的な怒りが最高潮に達してから収拾に乗り出すというのは、韓国社会の根深い問題だともいわれる。慶熙大学のコ・ガンソプ教授(社会学)は「問題が外部に知れ渡る前に組織内部の問題を自力で解決する努力や試みが必要なのに、それが足りない」として「結局、不必要な社会的憤怒を生み出すだけだろう」と指摘した。

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