韓国国会の国防委員会で20日、北朝鮮軍が韓国軍の「玄武2」ミサイルの設計図面をハッキングしたという説が提起された。今月8日の北朝鮮建軍節軍事パレードに初めて登場した新型ミサイルが、韓国の国防科学研究所(ADD)の開発した玄武2ミサイルと酷似しており、設計技術が北朝鮮に流出したのではないか、というのだ。

 保守系野党「自由韓国党」の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)議員は20日、国防委の非公開全体会議で、このような疑惑をめぐり国防部(省に相当)の宋永武(ソン・ヨンム)長官と質疑を行った。鄭議員の質問に対し宋長官は「きのうADDに行って玄武の実物を見て、(技術流出の可能性について)討議したが、ハッキングされたわけではない」と答弁したと伝えられている。宋長官は前日ADDの専門家らと北朝鮮のミサイルへの対応案を話し合ったという。宋長官は「北朝鮮のミサイルは、固体燃料型のコールドロンチ技術が適用された新しいミサイルだと分かっている」「北朝鮮のミサイルは、玄武の形をしているが誘導方法などは異なる」と答弁し、さらに「軍事パレードで(新型の)潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)が(登場すると)期待されたが、現れなかった。(北朝鮮の戦力レベルについて)計算ができない」とも発言した。

 問題のミサイルはサイズや形が「玄武2」と類似し、韓国内外の専門家の間で北朝鮮による設計図ハッキングの可能性が指摘されていた。一部では、玄武2の原型に挙げられるロシアのイスカンデル(SS26)ミサイルをコピーした可能性も持ち上がっていた。玄武2は、韓国軍の対北朝鮮先制攻撃概念「キルチェーン」の中核となる攻撃手段だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が昨年6月、ADDを訪れて発射デモンストレーションを直接視察したこともある。論争拡大の兆しがあることを受けて宋長官側は、国防委の会議が終わった後に立場を表明する文書を出し「北朝鮮のミサイルは玄武2と似てはいるが、玄武2ではない」と説明した。

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