北朝鮮は22日、金英哲(キム・ヨンチョル)統一戦線部長を団長とする高官団を平昌オリンピック閉会式に派遣すると通知してきた。これを受けて韓国統一部(省に相当、以下同じ)は「南北関係改善や非核化など、韓半島(朝鮮半島)における平和定着に向けプラスに作用するだろう」とした上で「代表団の来韓を受け入れる予定」などとコメントした。

 結論から言えば、韓国政府は金英哲氏に大韓民国の領土を踏ませてはならない。2010年3月26日、当時北朝鮮で偵察総局長だった金英哲氏は、韓国軍兵士46人が犠牲となった哨戒艦「天安」撃沈を企画し実行に移した人物だ。ところがこれについて韓国大統領府のある幹部は「2010年5月に哨戒艦の沈没について調査が行われたが、誰がこれを実行したかという点についての結論はなかった」と主張している。言うまでもなく「金英哲氏の来韓を拒否する理由はない」と言いたいのだ。当時複数の国が参加して行われた哨戒艦沈没に関する調査は、現場に残っていた物的証拠に基づいて科学的な分析を行い、それによって北朝鮮の犯行だったかどうかを明らかにすることが目的だった。そのため北朝鮮で誰がこの挑発の責任者だったかは確かに調査対象ではなかった。しかし10年11月に国会国防委員会で当時の金泰栄(キム・テヨン)国防部長官は「哨戒艦沈没の主犯は金英哲」と断言し、国防部の内部文書にもそのように記載されている。

 哨戒艦沈没から数カ月後の2010年9月、米国のオバマ大統領(当時)は「46人もの犠牲者を出した奇襲攻撃」をはじめとする北朝鮮の挑発行為を読み上げた上で、北朝鮮制裁を指示する行政命令の対象者リストに金英哲氏も入れた。北朝鮮で韓国に対する挑発を実行に移す機関は金英哲氏が担当していた偵察総局しかないため、金英哲氏を哨戒艦沈没の責任者と見なさないとすれば、沈没は北朝鮮の犯行ではないと認めることになる。しかも金英哲氏は12年2月、金正日(キム・ジョンイル)総書記の誕生日直前に上将(中将)から大将に昇進した。韓国に対する挑発を成功させた功績が認められたのだ。

 金英哲氏が今回予定通り韓国に25-27日の期間滞在する場合、まず平昌オリンピック閉会式などオリンピック関連行事に出席し、次に徐薫(ソ・フン)国家情報院長と会談する。これについて大統領府は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領も機会があれば自然に金英哲氏に会うだろう」とコメントした。金英哲氏が2泊3日にわたり大韓民国領土を自由に行き来し、大統領にまで会うとなれば、その様子を見守る哨戒艦沈没の遺族らがどのような心情を味わうか、政府はこの点について考えてみたのだろうか。

 韓国が2回の失敗を経てやっと誘致に成功し開催にこぎ着けた平昌オリンピックを、北朝鮮からやって来た人間たちが自分たちの宣伝の場として利用していることに韓国国民の多くは不快に感じた。その上この国民的大イベントの終わりを告げる閉会式にまで北朝鮮の挑発責任者を主役として招くことなどあってはならない。平昌オリンピックを平和裏に終わらせ、北朝鮮を非核化に導くチャンスとして活用するため、韓国政府はこれまで何度も北朝鮮に対する制裁の例外を実行してきたが、それでも金英哲氏の受け入れだけは絶対に認めてはならない。北朝鮮が金英哲氏を団長として派遣する意図は、要するに大韓民国と哨戒艦沈没で犠牲となった兵士やその遺族をあざ笑い、ないがしろにするのと何ら変わりがない。そのような北朝鮮の意図を絶対に見過ごしてはならない。

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