性暴力事件を担当するある警察官は3月5日、「最近韓国女性家族部(女家部。省に相当、以下同じ)がやっていることを見ると、正直もどかしい思いがする」と語った。女家部が同日発表した、性暴力被害者の「2次被害」防止対策をめぐっての言葉だった。

 女家部の鄭鉉栢(チョン・ヒョンベク)長官は3月5日、警察庁長を呼んで30分間会議を行った後、関連対策を打ち出した。警察の段階で被害者が仮名調書を活用できるという点を伝えたい、というものだった。新たな対策ではなかった。性暴力被害者の身元保護のための仮名調書制度は2012年から施行されている。「積極広報」が対策の中心的な内容、というわけだ。

 この対策は、被害者らが自発的に自分の実名もしくは顔を公開する、MeToo運動の特性を理解していないものでもあった。女性たちは、暴露を行った後、加害者による殺害の脅迫やネットユーザーの悪質コメントなどに苦しめられているが、この部分についての保護対策はなかった。

 2月27日に女家部が最初の「MeToo」対策を打ち出したときも、状況は同様だった。女家部は「3月から100日間、公共機関で性暴力特別申告センターを運営する」と発表した。まず公共部門から性暴力根絶を先導したい、というのが理由だった。「民間部門についての対策の方を急ぐべきなのに、突拍子もなく公共部門の対策を打ち出している」と陰口をたたかれた。公共機関は、ほとんどの組織に性の不正に関する監督官や性暴力申告センターを置いており、民間に比べて監視がうまくいっている。現政権の関係者は「女家部は昨年11月にも公共部門のセクハラ防止対策を打ち出し、実態調査を行ってきた。その政策の『二番煎じ』のような感じ」と語った。

 女家部は、大統領選挙のたびに廃止論が浮上する部処(省庁に相当)の一つだ。今回のMeToo運動は、女家部が存在感を確実に発揮できるチャンスだ。なのに現在、女家部の声はよく聞こえてこない。リーダーシップも発揮できていない。ある公務員は「先週、女家部の長官が雇用労働部、教育部など関連機関に『MeToo対策を送ってほしい』と要請したが、期限内に提出した機関は1カ所だけだったという」と語った。一部からは「長官のかつての振る舞いのせいで、『言葉の力』がうまく伝わっていない」という声も上がった。鄭鉉栢長官は大学教授時代、性暴力被害に遭った同僚教授に「学校の恥だから隠そう」と言った-という疑惑が持たれている。

 もちろん、根本的解決策を短時間で用意することはできない。だが少なくとも、女家部が打ち出したMeToo対策には、真剣に苦心した跡が刻まれているべきだ。

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