文在寅(ムン・ジェイン)大統領は7日「われわれは(北朝鮮の)核を容認することはできない」とした上で「南北首脳会談のため北朝鮮に対する制裁を緩和する計画はない」と発言した。文大統領は与野党の代表に今回北朝鮮へ特使を派遣した結果について説明する席で「(南北対話と米朝対話により)実質的な進展が見られ、国際社会における合意によって(制裁を)緩和することはあっても、(韓国が独自に)緩和することはない」と述べた。今回の南北合意によって非核化の突破口が開かれるとの期待がある一方、過去25年間がそうだったように今回も「またも北朝鮮にだまされるのでは」といった疑問の声も当然出ている。このような状況で文大統領が「非核化抜きの制裁緩和はない」との原則を明確にしたのは非常に適切と言えるだろう。

 北朝鮮は1990年代から韓国や米国はもちろん、国際社会と約束した非核化合意を一回も守ったことがない。北朝鮮は2003年から08年までプルトニウムに関する6者協議に参加しながら「非核化に応じる」と何度も表明したが、その裏ではウランを使った核兵器開発を進めていた。ところが08年に5メガワット原子炉冷却塔の爆破ショーを受け米国がテロ支援国家から解除すると、たちまち6者協議を足蹴にし、また検証可能な非核化を定めた9・19合意の裏で最初の核実験を強行した。

 米国のトランプ大統領が「可能性のある進展が実現しつつある」としながらも、その一方で「中身のない希望かもしれない」と述べるのはそのためだ。ホワイトハウスのある高官は「北朝鮮が核兵器を製造する時間を稼ごうとするなら、対話は絶対に長続きしない」「非常に悪い結果に終わったあの映画の最新の続編をまたも製作しようとしているのではない」などと非常に懐疑的だ。米国家情報院(DNI)や国防情報局(DIA)のトップらも米議会上院の公聴会で一斉に今回の合意に対する警戒心をあらわにした。北朝鮮の過去の行いを考えると、今回の合意に疑いの目を向けるのはあまりにも当然だ。

 北朝鮮は金日成(キム・イルソン)主席、金正日(キム・ジョンイル)総書記、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の3代かけ、想像をはるかに超える代償を払いながら核開発を続けてきた。そのため「平和を実現するために核を放棄する」との言葉を信じるのはあまりにも愚かだ。金正恩氏がもし対話に応じるとすれば、それは国連による制裁と米国の軍事攻撃が北朝鮮体制を崩壊させる可能性があると判断したときだ。南北首脳会談や米朝会談によって取りあえずは米国の軍事攻撃を阻止することはできる。しかしもしこれによって制裁そのものまで無きものとなれば、金正恩氏は核兵器を非常に高いレベルで完成させ、対話には一切応じなくなるだろう。

 現在、韓国が金正恩氏を動かすことのできる基盤は北朝鮮に対する制裁しかない。北朝鮮と対話を続け非核化に応じるよう地道に説得を続ける一方、制裁に関してもこれを一切緩めることなく続けていかねばならない。そうしないと金正恩氏が状況を読み違える恐れがある。もし金正恩氏が核武装と制裁の解除を同時に達成できると確信すれば、韓半島(朝鮮半島)は最悪の状況に陥ってしまうだろう。金正恩氏を核武装か制裁の解除かどちらかを選択せざるを得ない状況に追い込んでこそ、非核化への希望がわずかでも見えてくる。文大統領が「南北首脳会談のために制裁を解除することはない」という原則を最後まで守るだけでも、金正恩氏の危険な誤解を防げるはずだ。

 今日からワシントンを訪問する韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長は、まず何よりも文大統領が掲げるこの原則を米国にしっかりと伝えねばならない。それがあって初めて韓米両国は信頼関係を維持しながら北朝鮮との交渉を進めることができる。また南北首脳会談を進めるに当たっても韓国は米国と緊密に連携し「いかなる場合も米国は疎外されない」とのメッセージをはっきりと伝えねばならない。また今後北朝鮮は非核化の条件として在韓米軍の撤収や韓米同盟の解体を求めてくるはずだ。韓米両国はそれについても一致して備えに取り組んでおかねばならない。今は楽観も悲観もする時ではなく、制裁の原則をしっかりと守りながら北朝鮮と対話を進めるべき時だ。虚偽と真実は自然に区別できるようになるだろう。

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