ソウル中央地裁は検察による金寛鎮(キム・グァンジン)前国防長官に対する逮捕状請求を棄却した。金前長官に対する捜査は最初からその不当さを指摘する声が根強かった。検察はネットへの政治的な書き込みを指示した容疑で金前長官を逮捕したが、証拠が不十分だった上に、実際に書き込まれた回数も1日10件以下だったため、「政治介入」の容疑そのものが成立しないとの声が相次いでいた。裁判所も金前長官の拘束から11日後、逮捕状審査で金前長官を釈放した。すると検察は3カ月以上かけて金前長官について執拗(しつよう)に調べ、再び逮捕状を請求した。いったん釈放された人物を同じ容疑で再び逮捕しようというのだ。検察がこのような形で金前長官を逮捕することを支持する人間などほぼいないだろう。

 裁判所は逮捕状請求を棄却する際「犯罪が行われたかどうかについては争う余地がない」と指摘した。釈放を命じた時と全く同じ理由だ。誰かを逮捕する行為は、その容疑に十分な根拠があり、さらに証拠隠滅や逃亡の恐れといった理由があるときにやむなく行われる。しかし金前長官は検察の出頭要請には常に応じ、家宅捜索も複数回受けていることから、金前長官が逃亡や証拠隠滅を行う可能性は低いとみるのが常識的な見方だ。しかも今回の捜査は逮捕の前提となる犯罪容疑の根拠も不十分と裁判所は判断した。ところが検察は「逮捕状の棄却は問題の真相を理解しない非常識な判断であり、法に対する国民感情を無視した決定」として裁判所を非難した。しかしこれは法を執行する国家機関にふさわしくない言葉であり、まるで市民団体の主張を聞いているようだ。

 検察は最初から容疑が立証されない場合、捜査の方針を見直し的外れな容疑をでっち上げては無実の人間を苦しめることがある。別件捜査あるいはほこりたたき捜査などと言われるものだ。有罪を立証するためではなく、一度目を付けた人間に対してはいかなる手段を使っても刑務所に送ることが目的になるわけだ。しかし検事たちはこのような行動を「正義」と主張する。しかしその実態は「正義」ではなく「不義」であり、法ではなく法を悪用した単なる暴力にすぎない。

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