韓国統一部(省に相当、以下同じ)が今月5日に発行した統一教育教材「北朝鮮理解」最新版で、北朝鮮の挑発に関する章が丸ごと取り除かれ、北朝鮮の人権に関する部分は大幅に縮小されていることが分かった。北朝鮮の体制を規定する各種の表現の中でも、「独裁」「世襲」は姿を消すか、別の単語に置き換えられた。

 「北朝鮮理解」最新版で全て削除された「対南挑発」の章の場合、昨年版までは6・25(朝鮮戦争)での南侵、アウンサン廟(びょう)爆弾テロ(ラングーン事件)、延坪海戦、哨戒艦「天安」撃沈、延坪島砲撃挑発などの事実が記載されていた。12ページあったものが3ページにまで削られた「人権状況」の部分(昨年版のタイトルは『住民の人権の侵害』)は、これまで記されていた公開処刑や政治犯収容所関連の内容が全て削除された。

 世宗研究所のキム・ジンム客員研究員は「北朝鮮との交流・協力のため、北朝鮮の挑発の脅威をできるだけ浮き彫りにしないようにする狙いがある。今年は、統一教育院で北朝鮮の核関連の講義も取りやめるらしい」と語った。

 「北朝鮮理解」は、統一部傘下の統一教育院が2000年から毎年発行してきた教材だ。中学・高校および大学、公共機関、図書館などに統一教育教材として配布される。だが北朝鮮のマイナス面から目を背けることは、「バランス感覚を持って客観的に北朝鮮を理解できるよう助ける」という同教材発刊の趣旨にも合致しない、という指摘がある。

 また韓国国防部が今年6月に発行を予定している軍将兵用の精神教育教材からは、「従北勢力」(北朝鮮に追従する勢力)、「主思派」(主体思想派)といった表現が全て消えるという。どれも文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後に出てきた変化だ。ある安全保障の専門家は「民間や軍の安全保障教育で、韓国の親北勢力や北朝鮮にとって都合の悪い内容が大挙して削除・歪曲(わいきょく)されている」と語った。

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