米朝首脳会談が行われるというニュースは世界に衝撃を与えた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の仲介外交で韓国政府の身動きも取りやすくなった。しかし、マクロ的に見れば、米朝対話は予定された手続きだった。核戦争に発展する可能性が高い第2の韓国戦争(朝鮮戦争)は全ての当事国にとって破局を意味する。韓国、北朝鮮、米国、中国の全てが外交的解決を望んでいるという点で利害関係が一致する。それでも韓半島(朝鮮半島)を苦しめてきた「ゴルディアスの結び目」は刀一本では切れないはずだ。歴史がそれを証明している。

 五里霧中の韓半島情勢を突破するには、むしろ南北二国体制を模索することが先決だ。韓半島二国体制は韓国と北朝鮮がそれぞれ別の主権国家として現存するという明らかな事実が出発点だ。南北が現実を受け入れ、正常な国として国交を結び、相互交流、経済協力を本格化すべきとの主張だ。大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国は1991年9月18日、国連に同時加入した。これにより、別個の主権国家であることが国際法的に認められた。当時の国連加盟159カ国が満場一致で承認した。よって、韓半島二国体制論は統一には触れない。南北がそれぞれ「欠損国家」にすぎないという分断体制論の批判も断固拒む。

 当然南北統一は尊い願いだ。同じ民族同士が豊かに暮らすという夢は大変強い感性的な訴求力を持つ。しかし、ロマンチックな民族統一論が平和を害し、戦争を招きかねないという教訓は歴史の悲劇的アイロニー(皮肉)だ。6・25戦争(朝鮮戦争)は、北朝鮮版の民族統一論を北が武力で強行した結果起きた大惨劇だった。6・25以降も南北は国力競争でリードした側が統一議論をリードしてきた。1970年代初めまでは北朝鮮が統一論を主導し、南北の国力が逆転した後は韓国が統一論をけん引してきた。そして、平昌冬季五輪で目にしたように、核という絶対的兵器を握った北朝鮮が南北統一の主張で先頭に立っているというのが現在の状況だ。

 和平交渉を経て、互いに平等な形で統一した分断国家は存在しない。現代史の痛切な教訓だ。ベトナムは武力統一され、イエメンは平和統一の最初の段階が崩壊後、武力統一に帰結した。ドイツは一方的な吸収統一だった。南北統一の条理も全く同じだ。統一の名の下、韓国の市民が自由と豊かさを放棄するはずはない。統一の大義のために金正恩(キム・ジョンウン)が絶対権力を手放すはずもない。韓国の民主共和政体と北朝鮮の独裁体制を対等に統合した統一国家など実現不可能な妄想にすぎない。それがすなわち、下手に統一しようとすると、平和をもたらすどころか、戦争を招くことになる必然的理由だ。

 韓半島二国体制では、南北が他国ともそれぞれ外交関係を結ぶことになる。韓国が北方政策を通じ、韓国・ロシアと国交正常化したように、米朝、日朝の国交正常化も必至の事柄だ。韓米日、朝中ロの相互承認で南北の敵対関係を終息させようというビジョンと言える。そうした構図こそ、韓半島の平和体制の本格的発足を意味する。

 韓半島の真の平和は、統一ではなく、しっかりした二国体制の構築から生まれる。韓半島二国体制は永久的な分断につながるどころか、究極的統一に向かう上での合理的選択肢の一つだ。これは我々が政治的想像力を一世紀単位に広げた場合に至る避けることのできない結論だ。

 韓半島問題を解決する上で、政治的現実主義が試金石になってしかるべきだ。北朝鮮の核と中国の存在は韓国による北進統一や吸収統一を不可能にした。韓国の民主共和政体と在韓米軍は北朝鮮による赤化統一を阻む決定的な力となる。米国にとって韓半島は中国との世界の主導権争いの最前線に位置する要衝地帯だ。米国にとっての軍事的橋頭堡であり、世界10大経済大国である同盟国韓国を世界最大の覇権国家である米国が捨て去る戦略的理由は皆無だ。従って、いつか実現する米朝国交正常化と平和協定についても、前向きに考えることが大韓民国の国益につながる。

 戦争不可避論者は、北朝鮮への先制攻撃が全面戦争につながることを十分に考えるべきだ。第2の6・25戦争が韓半島全体を破壊しても、南北統一は実現できないはずだ。全土が焦土化しても戦前の分断状態に逆戻りした6・25戦争が反面教師ではないか。韓半島二国体制は「戦争なき韓半島」に向かう唯一無二の道だ。そして、金正恩による核放棄なしでは、南北二国体制は成立不可能だ。現在は着実に韓半島二国体制に備えるべき時だ。あらゆる難題を一刀の下に解決する絶対的な宝剣はない。首脳会談に対するバラ色の期待は慎まなければならない。

尹平重(ユン・ピョンジュン)韓神大教授(政治哲学)

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