日本がカナダ、オーストラリア、ベトナムなどアジア太平洋11カ国が参加する「包括的および先進的環太平洋連携協定(CPTPP)」の締結を主導し、自由貿易協定(FTA)の「劣等生」から一気に「優等生」へと浮上した。CPTPPは多くの国が同時に参加するため、「メガFTA」とも呼ばれる。

 日本はこれまで韓国がFTAを締結済みの米国、中国とはFTAを結んでいない。しかし、今回のCPTPP締結で韓国に追い付き、アジア太平洋地域でFTAの中心国に浮上する。

 日本、カナダ、メキシコ、ペルー、チリ、ニュージーランド、オーストラリア、ブルネイ、ベトナム、シンガポール、マレーシアの11カ国は8日、チリでCPTPPに署名した。CPTPPは昨年1月に米国の脱退で破棄の危機に直面した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を日本が復活させ、名称を変更したものだ。トランプ米大統領も先ごろ「参加国がはるかに良い取引を提案するならアメリカが(TPPに)戻る可能性はある」と述べ、再加入の可能性を示唆している。

 一方、韓国は2013年初めに関心は示したものの、検討に終始した。韓国政府は今月8日、通商推進委員会の実務会合を開き、「加入の是非を年内に決定する」として、結論を再び先送りした。

■FTA出遅れの日本、一気に「優等生」に

 当初TPPは米国が主導し、2015年10月に12カ国で大筋合意した。世界の国内総生産(GDP)の37.4%、貿易量の25.7%を占める世界最大の経済圏が誕生すると期待された。しかし、トランプ政権が昨年1月、突然脱退を表明したことから、破棄の危機に立たされた。日本の安倍晋三首相は米国が抜けたTPPを復活させることに全力を挙げた。合意に向け、コメ市場開放も認めた。TPPの重要条項を維持したまま、米国を除く11カ国での再合意に成功したのだ。

 CPTPPは早ければ来年にも発効する。加盟各国のGDPは世界の12.9%、貿易規模は14.9%だ。域内人口は5億人であり、約10兆ドルの関税障壁撤廃効果が期待される。

■通商戦争の犠牲回避には加入必要

 韓国はTPPへの対応で右往左往してきた。13年11月、対外経済長官会議の議決を受け、正式に関心を表明したが、他国は速やかな合意に集中するため、追加加入を認めなかった。15年に朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領が訪米し、「韓国がTPPに加入すれば、両国の企業にさらに多くの利益をもたらす」と主張したが、またも「関心表明」のレベルにとどまった。

 韓国産業通商資源部(省に相当)は今回も「今後CPTPP発効に関連する動向を細かく点検し、通商手続き法に基づき、国益を最大化する方向で加入の是非を年内に決定する計画だ」と表明した。同部関係者は「韓国はCPTPP加盟11カ国のうち、日本とメキシコを除く9カ国と既に二国間FTAを結んでおり、関税がかなり撤廃されているため、CPTPPが発効しても韓国経済へのマイナス影響は小さい」と評価した。

 しかし、通商専門家は世界的に保護貿易主義の波が高まる中、CPTPP加入を目指すべきだと助言する。西江大国際大学院の許允(ホ・ユン)教授は「保護貿易主義の障壁が高まり、力の論理に左右される二国間交渉よりも多国間交渉体制で他国と強力する必要性がますます高まっている。米国も復帰する可能性が高く、韓国もCPTPP加入を推進すべきだ」と指摘した。

 梨花女子大法学専門大学院の崔源穆(チェ・ウォンモク)教授は「新保護主義がかなりの期間続くとみられ、米中間での貿易報復の時代が到来する。メガFTAに属していなければ、通商圧力に対応するのは容易ではない」と懸念を示した。

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