観光客で込み合う東京都心に人々を呼び集める大型観光スポットがまた1つ誕生した。先月29日にオープンした地上35階建ての複合施設「東京ミッドタウン日比谷」だ。パークビューガーデン・映画館・ショッピングセンター・賃貸オフィスなどが入っている。赤坂に「東京ミッドタウン」を建てて成功させた三井不動産が、丸の内の高層オフィスビル街から銀座の高級ショッピング街につながる場所に1322億円かけて新たに建てた。

 開業初日には10万人が集まった。開業から1週間たった4日も、外国人観光客、地方から来た日本人客、同じオフィス街の会社員らが平日午後にもかかわらず、エスカレーターで行列していた。若者たちはパークビューガーデンで春の日差しを浴びたかと思うと、中に入っておしゃれな生活グッズを選んでいた。高級書店とファッション店の間に挟まれた昔ながらの理髪店では、韓国人・中国人・日本人の中年男性たちがくるくる回る青・白・赤の看板を見て「おい、こんな看板が今もあるんだね」「来たついでに髪を切っていこうか」と言っていた。

 丸の内は数年前まで天皇が暮らす「皇居」と東京駅の間にある個性のないオフィス街に過ぎず、ここからほど近い銀座も長期不況のため商売が振るわなかった。だが、今は違う。6つ星ホテルのアマン東京、古風なたたずまいの三菱一号館美術館、最高級ファッションビルGINZA SIX(ギンザシックス)…。丸の内から銀座につながる2.2キロメートルの区間に、日本を除くアジアではなかなか見られない高級スポットがこの数年間に次々と誕生している。

 新しくなっているのは建物だけではない。建物内の「話題の種」も続々と新しくなっている。同地域の土地の30%を保有する不動産開発・管理会社、三菱地所は3日、警備・案内・清掃業務に「人工知能(AI)ロボット」を初めて投入した。観光客の急増に伴い、これまで人間がしていたことのかなりの部分をロボットに任せようというアイデアで、これらのロボットの1つ1つが人々の目を引く。

 5日午前、同地域を代表する複合施設の1つ「新丸の内ビルディング(新丸ビル)」では、背が低く丸みを帯びた白いロボットがオフィス・スペースとショッピング・スペースの間に立って警備・パトロール・案内業務をしていた。ハリウッド映画『スター・ウォーズ』に出てくるロボット「R2-D2」そっくりだ。胸のモニターに指を当てると、「私の名前は『リボーグ・エックス』。身長145センチ、体重145キロ」とあいさつし、建物内部のグルメスポットやトイレの位置、近くの地下鉄駅への道案内を音声とモニターで説明してくれた。案内を終えると「ウーン」という音と共にパトロールに出た。「私は自動で空間を認識して動きますので、お客様がスーツケースを置いていても避けて通れます」と自慢することも忘れなかった。

 三菱地所関係者は「今月末には人の顔を見分ける小型ロボットを警備・案内用に配置し、掃除もロボットにさせます」と、おもちゃのように小さなロボットの写真を数枚送ってくれた。同じころ、建物の外では人間の観光ガイドが電動二輪車「セグウェイ」に乗って当たりを見回り、観光客が「近くでどこかおいしい店はありますか?」と聞くと、搭載されているタブレットPCを使って案内していた。

 このように東京都心の再生・復活は、日本経済が長期不況を経てどれだけ変わり、どれだけ強くなったかを見せてくれる。日本のタクシー運転手・新聞記者・飲食店主らは一様に「数年前まで見るところも遊ぶところもなかったのに…隔世の感がある」と言う。

 専門家らは「2002年に小泉純一郎首相=当時=が都心復活の呼び水を用意した」と話す。小泉氏は思い切って都心の主要地域の高度制限をなくし、容積率を2倍(1000%→2000%)に引き上げたのだ。それをきっかけに三菱地所を中心に民間企業が東京都と力を合わせて再開発の大きな構想を練った。

 その後、2012年に安倍晋三首相が再び政権を執るまで、政権与党は2回、首相は7回変わった。しかし、どの党が政権を執ろうが、首相が誰になろうが都心再生事業は原則通り行われた。日本の景気が復活し、外国人観光客が増えて大きな成果が挙がった。規制改革・観光政策・インフラ整備が合わさって新たに誕生した「東京ミッドタウン日比谷」でも、三菱地所が投入した警備ロボットの前でも、自撮りしたりお金を使ったりして楽しむ人々には、日本人客と同じくらい韓国人・中国人・西洋人客が多かった。

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