大韓航空を中核とする財閥・韓進グループの趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長の妻、李明姫(イ・ミョンヒ)一宇財団理事長(69)と推定される人物が、工事現場で工事関係者に暴力を振るう様子を撮影した動画が23日、公開された。この動画をメディアに提供した人物は「暴力を振るっているのは李明姫理事長だ」と証言した。

 大韓航空社員が開設したソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上の情報提供掲示板に投稿されたこの動画は、2014年5月に韓進グループ系列会社のKALホテルネットワーク・仁川グランドハイアットホテル増築工事現場で撮影されたものだという。動画は1分27秒ほどで、李明姫理事長と推定される人物が工事現場で地面に置いてあった物を足で蹴ったり、頭を下げて立っている工事関係者に向かって指を差したりする様子が映っている。さらに、女性工事関係者の腕をつかんだかと思うと引っ張ったり、背中を強く押したりしたほか、男性工事関係者がこれを止めようとすると、男性が手にしていた書類の束を奪ってぶちまけたりもしている。

 動画の工事関係者らは、当時増築工事を担当していた会社の社員たちだという。李明姫理事長と推定される人物が罵声(ばせい)を浴びせる様子を録音した音声ファイルが公開されたことはあるが、動画で公開されたのは初めてだ。大韓航空側は「会社と関係のないことなので確認が難しい」としている。警察は現在、李明姫理事長の暴行・暴言容疑に関して内偵捜査を進めている。

 一方、関税庁は同日、韓進グループ経営者一族の関税脱税疑惑に関連し、韓進グループ系列会社に対して追加で家宅捜索を実施した。韓進観光(ソウル市中区)の事務所や大韓航空本社電算センター(同市江西区)なども含まれていた。韓進観光は、趙亮鎬会長と李明姫理事長の次女で、「水かけパワハラ」疑惑で大韓航空専務を辞任した趙顕ミン(チョ・ヒョンミン)氏が代表を務めていた会社だ。

 関税庁は21日に既に韓進グループ経営者一族の自宅と仁川国際空港第2ターミナルの大韓航空事務室を家宅捜索している。同庁関係者は「脱税容疑と関連して家宅捜索を順次実施しているものだ。経営者一族が海外で購入したものを大韓航空が航空機部品などを装って密輸したとの疑惑に関して、大韓航空と外国企業間の取引内容を集中的に調べる」と話している。

 韓進グループは同日、新たに設立したコンプライアンス委員会の委員長にモク・ヨンジュン元憲法裁判官(63)を任命した。これは一連の問題に対する後続措置だ。韓進グループ側は「コンプライアンス委員会では社内の監視機能を強化し、客観的な視点から国内外のコンプライアンス(企業活動における社会規範順守)関連事項を総括指揮することになる」と説明している。

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