中国のスマートフォン部品メーカーで幹部として働いている韓国人K氏からサムスン電子のスマートフォンが中国で没落した真の原因を聞くことができた。中国のスマートフォン市場でサムスンのシェアは一時20%を超えたが、昨年10-12月期には0.8%にまで低下した。

 K氏によると、サムスン製品と中国の国産製品の技術格差はほとんどなくなっているのに、価格は2-3倍の差があるから、サムスン製品を買う人はいないのだという。ギャラクシーS9が6500~7000元(約11万1800-12万500円)なのに対し、性能が同クラスの中国製スマートフォンは2000-3000元だ。コストパフォーマンスでは大差がある。

 こうした格差が生まれる原因は何か。それは政府の補助金だ。K氏は「中国政府は一定規模以上の売り上げがある自国のスマートフォンメーカーに補助金を支給するため、ローカル業者が安価で出荷することができ、政府補助金で赤字を埋め合わせる」と説明した。
 すなわちサムスンがいくらコスト削減で価格を引き下げても、中国メーカーはそれを下回る価格で販売するため、競争にならないのだ。中国政府の補助金は証拠をつかむことが難しく、証拠を確保しても提訴が困難で、提訴しても勝てる保証はない。新技術を開発しても、現地メーカーがすぐにコピーするか追随してくるため、効果が長続きしない。韓国のスマートフォン業界はこれまで中国企業と競争してきたのではなく、中国の「政府・企業連合軍」と競争してきたわけで、今は中国の「反則」の前にひざまずく直前だという。

 自国の産業と企業を育成し、外国のライバルの技術を吸収した後、淘汰(とうた)する中国の反則と差別は今に始まったことではない。LG化学とサムスンSDI、SKイノベーションなど韓国の電気自動車向けバッテリーメーカーは、数千億ウォンを投資し、中国に工場を建設した。しかし、中国の補助金差別に直面し、何年も悔しさに耐えている。外資による投資を誘致しておきながら、外資に不利益を与える国は世界でも中国だけだ。

 半導体世界1-3位のサムスン電子とSKハイニックス、米マイクロンは先月末から中国の市場監督総局の反独占法違反調査を受けている。今回の調査が半導体価格を値下げさせるための外国企業への圧力であると同時に、中国の半導体業界の崛起(くっき)を図るための意図的な「いじめ」である疑いをぬぐい去ることはできない。

 国際的な貿易秩序を踏みにじる中国の横暴は、韓流分野も例外ではない。中国のテレビ局、湖南衛視は昨年、韓国tvNの人気番組「ユン食堂」をコピーした「中餐庁(餐庁は食堂の意)」を放送し、韓国はもちろん、中国のネットユーザーからも行き過ぎだという批判を浴びた。

 今年4月にフランス・カンヌで開かれた映像コンテンツ見本市「MIPTV2018」に参加した韓国の放送関係者は中国側の図々しさに舌を巻いた。上海東方衛視、江蘇衛視は韓国SBSの「ボーカル戦争:神の声」、KBS第2テレビの「歌合戦-勝負」の構成を無断で盗用した番組を中国国内で放映しただけで飽き足りず、海外に売り込もうとした。

 白雲揆(ペク・ウンギュ)産業通商資源部長官は今月初め、中国を訪問後、「中国の韓国半導体業界に対するけん制がかなり続きそうだ。韓国企業の苦難解消を中国に一貫して求めていく」と述べた。この程度の要求に中国はびくともしないだろう。終末高高度防衛ミサイル(THAAD)をめぐる対立で目にしたように、中国に慈悲をも求めても何も得られない。中国に圧力をかけるカードが必要だ。

 韓国政府は中国の不公正、反則、差別事例を収集し、世界貿易機関(WTO)に提訴する準備を進める一方、主要貿易相手国と連携し、中国に公正な貿易秩序と投資環境を要求すべきだ。韓国企業も業種ごとに対中投資戦略を全面的に見直すべき時が来た。今のような不公正な環境が改善しない限り、中国との貿易と投資の未来は決して明るくない。人件費が中国の4分の1であるベトナムは既に韓国企業による投資の「第2の聖地」となった。北朝鮮も代替投資先になり得る。「わがままな隣人」の反則が通用するのをいつまでも放置するわけにはいかない。

池海範(チ・ヘボム)東北アジア研究所長

ホーム TOP