韓国軍海兵隊の上陸機動ヘリ「マリオン」の墜落事故について、韓国大統領府の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は「スリオンの性能と技量は世界トップレベルだ」と述べ、機体に欠陥があった可能性を否定した。海兵隊が使用するマリオンは韓国製主力ヘリ「スリオン」を改良した機種で、基本性能はほぼ共通しているという。事故原因に関する詳しい調査結果が出る前から、大統領府は機体に欠陥があった可能性を否定する形となった。これについて韓国軍とその周辺からは「マリオンの墜落によってスリオンの輸出計画に悪影響を及ぼしたくなかったのだろう」との見方が出ている。

 金報道官は会見で「スリオンに欠陥や問題があるとの認識が今後広まる可能性があるが、実際のところ監査院が指摘した結氷問題は完全に解決している」とも主張した。マリオン墜落事故は大統領府スタッフらによる会議でも取り上げられたが、スリオンの機体には欠陥がないとの声が相次いだという。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨年7月「監査院は先日スリオンの納品を巡る不正を摘発し、検察に捜査を依頼した」と明らかにした上で「防衛産業における不正は利敵行為だ」と述べた。ところが昨年10月にスリオンを開発した韓国航空宇宙産業(KAI)社長に、大統領選挙で陣営スタッフだったキム・ジョウォン元監査院事務総長の就任が決まると、文大統領は防衛関連企業による展示会に姿を現し、KAIの役員らを直接激励した。一方で韓国軍はこの日、事故について説明する会見を検討していたが突然キャンセルした。会見のキャンセルには大統領府の意向が反映したとの見方も相次いでいる。

 野党各党は政府の事故対応を批判している。保守系野党・自由韓国党の尹永碩(ユン・ヨンソク)首席報道官は「事故原因についてもし国防部(省に相当)が解明どころか隠蔽(いんぺい)に乗り出したとすれば、今後厳しく対処していく」と述べた。また犠牲者の遺族は「メディアによる徹底した取材や中立的な事故調査委員会の立ち上げなど、自分たちの要求が受け入れられなければ弔問や葬儀などは行わない」と表明した。

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