「契約が昨年の2倍に増えた。てんてこ舞いの忙しさだ」

 18日午後、ソウル市衿川区にある無人注文機メーカー「トゥロスシステムズ」では、社員たちが大人の背丈ほどの無人注文機「キオスク」にカードリーダーと小銭投入口を装着していた。営業企画チームのチョン・ソク常務が電源を入れ、タッチパネルが正常に作動することを確認すると、社員たちは次の「キオスク」の組み立てに取り掛かった。生産室だけでなく会議室などの事務スペースまで、検査を終えた「キオスク」でいっぱいだった。チョン常務は「2019年の最低賃金が発表されて以降、問い合わせが急増している」として「今年の下半期の販売台数は前年同期の3倍以上になる見通し」と話した。

■無人注文機の販売台数が急増、前年の2-3倍に

 最低賃金が急激に上昇し、人件費負担が重くのしかかる自営業者らが無人注文機「キオスク」の導入を急ぎ始め、関連企業はホクホク顔だ。ハンバーガーチェーン「バーガーキング」は現在、全313店舗のうち67%(210店舗)で「キオスク」を導入しているが、近く全ての店舗に設置する計画だ。また、全1350店舗のうち56%(762店舗)で「キオスク」を導入しているロッテリアも、導入店舗を順次拡大する方針だ。大型デジタルスクリーンでハンバーガーや飲み物の画像をタッチし「テイクアウト」するかどうか、また決済方式を選ぶと、会計まで全て完了する。

 先払いの文化があまり浸透していない韓国で、注文と同時に決済する「キオスク」は、これまであまり人気がなかった。「キオスク」関連企業の関係者は「先払い文化が浸透している日本は、全国の飲食店の10-15%に無人注文機(食券販売機)が設置されているが、韓国はわずか1-2%程度とみられる」と話した。しかし、最低賃金の急激な上昇を受け、韓国の外食業界も積極的に「キオスク」を導入し始めている。昨年末に「キオスク」を導入したフレッシュジュース専門店「ジューシー」の関係者は「この6か月間、キオスクを導入した店舗の支出を分析した結果、キオスク1台の導入効果はアルバイト店員の1.5人分に当たることが分かった」として「1店舗で月に最大300万ウォン(約30万円)を節約できる」と説明した。

 フランチャイズチェーンだけでなく、小規模飲食店でも「キオスク」の導入が相次いでいる。ソウル市江南区でベトナム料理店を経営するチョンさん(42)は昨年初めに「キオスク」2台を導入し、アルバイト店員を2人から1人に減らした。人件費は月間150万ウォン(約15万円)減少した。チョンさんのように小規模飲食店の経営者が「キオスク」を導入することができたのは、機械のレンタルサービスが登場したからだ。使用料は機械の種類によって月に8万-30万ウォン(約8000-3万円)ほどだ。個人経営の飲食店でも、レンタル会社にメニューの名前と価格、料理の写真を提供すれば、プログラムに簡単に追加して使用することができる。

■ロボットによるカフェ、セルフサービスの飲食店も登場

 アルバイト店員の代わりを務める「キオスク」だけではない。コーヒーのバリスタに代わる機械も登場した。今年5月、ソウル市松坡区にオープンしたロボットカフェ「ビット」では、ロボットがかぎ型の手でコーヒーを入れ、グラスに氷を入れて注ぐ。無人運営のため、価格はアメリカーノ2000ウォン(約200円)、カフェラテ2500ウォン(約250円)とお手頃だ。コンビニや大手スーパーなど流通業界でもセルフレジの導入が増えている。利用客が商品のバーコードを自分でスキャンし、決済する方式だ。大手スーパー「イーマート」は全国144店舗のうち40店舗でセルフレジを導入している。ロッテマートは現在10店舗だが、今年中にセルフレジ導入店舗を40店舗まで増やす予定だ。

 アイスクリームチェーン店「バスキンロビンス」には、自動販売機型の「アイスクリームATM」も導入された。昨年5月に登場して以降、現在では首都圏の5店舗に導入されている。バスキンロビンスを運営するSPCグループの関係者は「利用客が集中する時間帯には待ち時間を短縮でき、店を閉める夜でも自販機を稼働させれば追加の売り上げが見込める」と話した。

 セルフサービスを拡大し、人件費を削減する外食企業もある。ビュッフェ形式のレストラン「アシュリークラシック」は昨年下半期から36店舗のうち13店舗をセルフサービスに変更した。利用客はフォーク、スプーン、箸を自分で席に持っていき、食後は食器や紙ナプキンなどを自分で片付ける。流通業界の関係者は「最低賃金の引き上げが重くのしかかる外食関連企業が、高い賃金を払わねばならないアルバイトの雇用をやめて代わりの手段を模索している状況」「結局、最低賃金のせいで雇用が減少するという矛盾が起きることになる」と懸念を示した。

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