今年の延坪島砲撃挑発8周忌(11月23日)は「静かに」過ぎ去った。追悼式は開かれたが、韓国政府ではなく海兵隊司令部の主管だった。報道資料は一部地域のメディアにのみ配布された。海兵隊の西北島しょ防衛司令部は「延坪島砲撃想起訓練」を実施したが、実弾射撃は行わなかった。この日の行事に出席した故ソ・ジョンウ下士(伍長〈ごちょう〉に相当)の母キム・オボクさんは「平和という名で息子の犠牲が忘れられているようだ」と語った。

 しかも北朝鮮は、韓国の追悼行事すら猛烈に非難した。「わが民族同士」は12月7日、「不純な妄動、高まる非難」という記事で「『延坪島砲撃事件』は、李明博(イ・ミョンバク)逆賊連中が朝鮮半島情勢を極度に緊張させて北南関係を一段と激化させるため、デリケートな西海(黄海)のホットポイントで引き起こした軍事的挑発事件」「北南関係が改善と和合の道に進むこんにちに至って、南朝鮮軍部がわが共和国を狙った軍事的態勢を鼓吹していることこそ、関係改善の雰囲気に冷水を浴びせる不純な妄動」と主張した。自分たちの先制攻撃だった延坪島砲撃挑発を「保守政権」のせいにして、追悼行事すら「妄動」と非難したのだ。

 それ以上におかしいのは韓国軍の態度だ。北朝鮮が盗っ人たけだけしく挑発しているのに、何の反応も示さない。北朝鮮は最近、哨戒艦「天安」爆沈事件は韓国の自作自演だととぼけているが、反論の声明一つ出さなかった。韓国軍の兵士や民間人まで犠牲になった延坪島砲撃については、軍が乗り出して対応の声明を出すべきだった。

 だがそうする代わりに韓国軍は、12月9日に漢江河口の共同水路調査を終え、船舶が航行できるルートを探し出したと言って「南北平和」ばかりを強調した。12月8日には北朝鮮軍のヘリが韓国軍の戦術措置線(TAL)に接近して韓国空軍の戦闘機が対応出撃したが、合同参謀本部は「訓練の状況だった」と、事実を隠そうとするかのような姿を見せた。さらに、北朝鮮は西海平和水域内の海岸砲を全て閉鎖すると約束しておきながら、砲門1カ所を1カ月以上も閉鎖していないが、これもまたうやむやにやり過ごしている。

 韓国政府が北朝鮮の挑発には消極的に対応し、軍縮には積極的に乗り出す理由について、韓国軍内外からは「軍事的なことを除くと、韓国が北朝鮮にしてやれることがないから」だという声が上がっている。北朝鮮がすぐに欲しいのは経済的支援だが、北朝鮮制裁が解かれないかぎり経済支援は不可能なので、通常戦力の削減で北朝鮮に補償を与えようとしている、というわけだ。もし金正恩氏がソウルを答礼訪問したら、韓国の安全保障に致命的な軍縮カードを追加で切り出すこともあり得る、という見方も出ている。

 ほんの2年前、韓国軍は「北朝鮮がいささか挑発的な言行を示しただけでも『骨身に染みるほど後悔させる』」と繰り返し警告していた。当時の気概はどこへ行ったのか。北朝鮮の挑発と万一の事態に備えるべき韓国軍が、のんきに「平和の雰囲気」に浮かれてばかりいたら、国家安全保障は崩壊してしまう。

梁昇植(ヤン・スンシク)政治部記者

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