韓国国防部(省に相当)が15日に公表した2018年版の国防白書は、いわゆる「強制徴用賠償問題」や「レーダー照射問題」で悪化した韓日関係がそのまま反映されたと評されている。

 今回の国防白書は「第3節 国防交流協力」の中の「韓日の国防交流協力」の部分で「韓日両国は地理的、文化的に近い隣国であり、世界平和と繁栄のために共に協力していくべきパートナー」と規定している。一方、2016年の国防白書では、韓日関係について「韓日両国は自由民主主義と市場経済の基本価値を共有しており、北東アジア地域はもちろん世界の平和と繁栄のために協力していくべき隣国」と表記していた。これまでの国防白書にずっと記載されていた「自由民主主義と市場経済の基本価値を共有」の表現がなくなったわけだ。

 米国以外の周辺諸国との軍事交流協力について記述する際の順序も、これまでは韓日、韓中、韓ロの順だったが、今回は韓中、韓日、韓ロの順に変更された。日本と「北朝鮮の核とミサイルの脅威」に対して協力するという内容も今回の国防白書では削除された。

 一方、韓日両国は14日、レーダー照射問題の解決に向けて実務者協議をシンガポールで開催したが、立場の違いを確認しただけで終わった。同日、国防部の高官は「日本が威嚇的な低空飛行をすれば、われわれも傍観しないだろう。『あなたたちが威嚇的な低空飛行をすれば、われわれも威嚇的な低空飛行をする可能性がある』と(実務協議で)話した」と述べた。

 日本側でも、安倍晋三首相が最近「日韓関係は冷却期が必要だ」と述べたことが伝えられるなど、事態が収拾する気配は見えない。東京の外交筋は「安倍首相が、今は日韓両国に何ら接点が見えない状態で、何をしても無駄だという意味でこう述べた」と話した。当面、韓日が事態解決に向けて水面下の交渉を行う可能性も低くなったとの分析も示されている。日本の与党・自民党内では「終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題のときに中国が韓国に対して報復したように、(日本も)強く出て韓国の目を覚まさせるべき」との話も出ている、と別の外交筋は話す。中国は、THAAD問題のときに韓国に対して超法規的な強い措置を取ったが、日本政府もそうすべき、と主張しているわけだ。自民党の松川るい参議院議員は5日、メディアとのインタビューで「韓国に目を覚ましてもらわないと、健全な日韓関係はない」と述べた。

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