2018年第4四半期(10-12月)の韓国の所得下位20%の世帯所得が前年同期を約18%下回り、2003年の統計開始以来で最大の減少幅を記録した。税金による公的補助金を除けば、約30%も落ち込んだことになる。最低賃金引き上げと関係が深い勤労所得は37%減少した。目を疑いたくなるほど衝撃的な統計だ。その上の階層に当たる所得下位20-40%の所得も5%減少し、全国の世帯の40%(800万世帯)が1年前よりも貧しくなった。一方、所得上位20%の所得は10%増加した。所得上位・下位の格差は第4四半期としては過去最悪となった。所得主導で成長すると主張する政権下で、貧しい人はさらに貧しくなり、二極化が最悪の状況となるという逆説が起きている。

 下位層の所得減少は雇用情勢悪化による必然的な結果だ。所得下位20%のうち無職世帯が56%に達した。1年間で12ポイントも増えた。失業者数が過去19年で最多を記録するほど深刻な雇用氷河期の衝撃は貧困層に集中した。昨年第4四半期には所得下位層による就職が多い臨時職が17万人減少した。廃業した自営業者は昨年、初めて100万人を超えた。低所得層の勤労者が働き口を失い、零細事業者が店をたたんでいる。それが貧困層の衝撃的な所得減少と過去最悪の所得格差として表れたのだ。

 政策失敗が主因であることは否定できない。最低賃金引き上げなど所得主導成長政策が推進されて以降、低所得層の雇用減少、自営業の景気悪化が本格化した。最低賃金が2年間で29%上昇し、卸小売、飲食・宿泊、施設管理など最低賃金に敏感な3業種で1年間に29万人の雇用が失われた。生活苦に追われた庶民が保険を解約したことで、保険解約返戻金は年間で2兆ウォン(約2000億円)近く増えた。高金利の貸金業者に手を出した人は412万人を超えた。自営業者の金融負債は文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後に14%増えた。賃金不払いが1年間で19%増えたとする統計も発表された。庶民経済が至るところで音を立てて崩壊している。それでも、経済副首相は「重い責任感を感じる」としか言えずにいる。大統領の顔色を気にしているのだ。

 今や設備投資、鉱工業生産が減少し、産業界の在庫は通貨危機以降で最多となった。唯一の成長エンジンである輸出も昨年12月から減少が3カ月続き、2月には11%も落ち込んだ。今後も外部環境は不透明だ。国際通貨基金(IMF)専務理事の言葉通りに「雷一つで嵐が吹き荒れかねない」状況と言える。

 最悪の所得統計が発表された当日、文在寅大統領は大学の卒業式で青年たちに「あきらめずに毎日を一生懸命生きてほしい」と訴えた。数日前には「包容国家」ビジョンとして、3年以内に「全ての国民が生涯にわたり基本的な生活を営める国」をつくると表明した。市民生活が破綻している現実を前に「ユートピア」を約束する文大統領の発言にはあっけにとられる。

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