サムスン電子の未来であるファウンドリー(半導体受託生産)事業が日本の奇襲攻撃を受けた。4日から日本が半導体生産に欠かせない素材の輸出を審査期間90日の許可制としたことを受け、23日時点でEUV(極端紫外線)工程用のフォトレジスト(感光液)の輸入ができなくなっているからだ。

 当初半導体業界は日本の輸出規制が韓国の主力であるDRAMを狙ったものだと受け止めていた。しかし、実際にはDRAMやNAND型フラッシュメモリーなどメモリー半導体の生産に必要なフォトレジストの供給は正常で、ファウンドリーで使われるEUV用フォトレジストの供給がストップした。

 EUV工程は半導体ウエハーに従来の波長よりもさらに精密な光を使って半導体を製造するものだ。サムスン電子はEUV工程を採用した7ナノメートル製造プロセスで半導体を生産しており、ファウンドリー分野で首位の台湾積体電路製造(TSMC)を追い上げている。しかし、日本による規制でEUV用フォトレジストが正常に供給されなくなり、ファウンドリー事業に赤信号がともった。半導体業界からは「日本がサムスンのファウンドリー事業を狙い撃ちしたものだ」との声が漏れる。半導体業界関係者は「サムスン電子のEUV工程を通じたファウンドリー事業の成長は韓国の半導体の未来だ。日本は現在の韓国の半導体事業ではなく、未来の半導体事業を狙ってきた」と指摘した。

■10年後に半導体全体で首位が目標
 世界の半導体市場はDRAM、NAND型フラッシュメモリーなどメモリー半導体とCPU(中央処理装置)、モバイルAP(アプリケーション・プロセッサー)、それを生産するファウンドリーなどシステム半導体(非メモリー)市場に分かれる。市場全体に占める割合はメモリー半導体が30%、システム半導体が70%だ。システム半導体分野は設計のみを専門とする「ファブレス」企業と設計通りに生産のみを行うファウンドリー(受託生産業者)に分かれる。昨年の全世界のファウンドリー市場規模は710億ドル(約7兆6800億円)に達する。サムスン電子はDRAMとNAND型フラッシュメモリーなどメモリー半導体市場で首位だ。しかし、システム半導体市場ではトップではない。

 ファウンドリー業界の世界首位はシェア48.1%を占めるTSMCだ。しかし、4-6月期の業績は低迷し、売上高は前年同期比3.3%増の2409億9900万台湾元(約8400億円)にとどまった。それを米ドル建てに換算すると1.4%の減益になる。TSMCは中国・華為(ファーウェイ)や米アップルに売り上げの30%を依存しているが、米中貿易戦争が起き、業績が伸び悩んだ。

 そのすき間を縫うように、サムスン電子は攻撃的にファウンドリー事業を拡大している。サムスン電子のファウンドリー市場におけるシェアは19.1%だ。今年4月、サムスン電子は2030年までに133兆ウォンを投資し、システム半導体分野で首位を達成するという「半導体ビジョン2030」を明らかにし、京畿道華城市の新EUV生産ラインを活用し、生産量を増やすほか、韓国国内で新規生産ラインへの投資も継続するとしていた。サムスン電子は今年に入り、クアルコム、IBM、エヌビディア、などから7ナノメートル製造プロセスによる半導体を受注することに成功した。半導体業界関係者は「DRAM、NAND型フラッシュメモリーなどメモリー半導体で首位のサムスン電子がさらに成長するため、ファウンドリー拡大戦略を打ち出した」とした上で、「先端EUV工程を通じたファウンドリー事業で技術力を積み上げれば、今後の次世代DRAM生産も可能になるなど連鎖的な効果が得られる」と指摘した。

■日本の規制、サムスンを奇襲
 サムスン電子の勢いは日本のせいで鈍りかねないと懸念される。日本は今月4日からフッ化水素、フッ化ポリイミド、フォトレジストの3素材の輸出を規制し始めた。細かく見ると、DRAM生産に必要なフォトレジストは正常に供給されており、折りたたみ式スマートフォン「ギャラクシーフォールド」の生産に必要なフッ化ポリイミドも細部の規定上、規制に該当しないため、正常に輸入されている。DRAM、ファウンドリーの双方に使われる日本製の高純度フッ化水素は供給が中断したが、韓国メーカーは供給先の多角化を進めている。

 問題はEUV用フォトレジストだ。日本の輸出規制に阻まれ供給が中断しているからだ。サムスン電子が使用するEUV用フォトレジストは全量を日本のJSR、東京応化工業(TOK)から調達している。このレベルのフォトレジストを国産化するためには1年以上を要するとみられている。

 現在サムスン電子のEUV用フォトレジストの在庫は最大で2-3カ月分とされる。日本の規制が長期化すれば、サムスン電子はEUV工程で7ナノメートル製造プロセスによる半導体生産ができなくなり、苦労して確保したクアルコムなどの顧客を再びTSMCに奪われる可能性が高い。業界関係者は「日本は素材供給中断で生産に支障が生じれば、すぐに全世界から非難を浴びかねないDRAMではなく、サムスン電子が次世代技術として推進しているEUVファウンドリーを正確に狙ってきた」と指摘した。李宗昊(イ・ジョンホ)ソウル大教授は「現在サムスン電子はTSMCと微細ナノ技術で競争を展開しているが、EUV用フォトレジストが不足すれば、技術開発にも遅れが生じ、結局は将来の半導体競争力も失いかねない」と懸念した。

ホーム TOP