韓国鉄道公社が昨年の純利益を実際よりも3943億ウォン(約347億円)水増しし、実際には1050億ウォンの赤字だったにもかかわらず、2893億ウォンの黒字と公表していたことが分かった。同公社は黒字公共機関に分類されるために、事実上の粉飾会計に及んだのではないかと指摘されている。

 総理室、企画財政部によると、粉飾会計の疑いは、監査院が最近鉄道公社など23の公共機関を対象に実施した「公共機関決算監査」で明らかになった。

 監査院は鉄道公社が法人税法上の収益を誤って算定し、収益を過大計上したと結論づけた。鉄道公社の外部監査法人である大手会計事務所のサムジョンKPMGによる会計監査に問題があったのではないかとする責任論も浮上している。鉄道公社側は「法人税法の改正内容を公社と会計法人が認識できず、収益を過大計上した。監査院の監査で帳簿上の収益を削除した」と説明した。

 鉄道公社は今年6月に発表した企画財政部の2018年の公共機関経営評価で17年(C等級・普通)よりも1段階高いB等級(良好)に分類された。元国税庁幹部は「今回の事例は企業の経営実績を良く見せかけようと利益を水増しする事実上の『粉飾会計』だ」とし、「誤った業績に基づき、職員に成果給を支給したり、さまざまな金融上の優遇を受けたりすれば、結局国民が被害を受けることになる」と話した。

 鉄道公社による収益水増しは公共機関の放漫な経営と会計の実態を端的に示している。鉄道公社は慢性的な赤字にもかかわらず、昨年には職員1人当たり平均で1081万ウォンの成果給、賞与を支給した。2万8000人以上の職員に総額3000億ウォン以上を支給したことになる。役員は3500万~5500万ウォンを受け取った。

 鉄道公社の負債は15年時点の13兆4502億ウォンから昨年には15兆5532億ウォンへと2兆ウォン以上増えた。16年の2265億ウォンの赤字に続き、17年には赤字が8555億ウォンへと急増した。一方、職員の定員は15年の2万7981人から今年6月末には3万2267人へと4286人(約15%)増えた。今年も昨年より1段階高い18年の経営評価等級(B等級)に基づき、成果給を支給する見通しだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の選対出身で、昨年2月に鉄道公社社長に就任から10カ月後、江陵線KTX脱線事故で引責辞任した呉泳食(オ・ヨンシク)元社長も数千万ウォンの成果給を受け取るとみられる。

 他の公共機関も事情に大差はない。放漫な経営や会計を監視するシステムが作動しないままだ。339ある公共機関のうち、監査院の監査対象は23にすぎない。韓国電力公社など一部の政府系企業は上場しているが、金融監督院の監理を受けない。公共機関の大半が会計処理の「死角地帯」に置かれていることになる。大手会計事務所幹部は「公共機関の会計監査は監視の目が少なく、会計法人が安易に考えているのは事実だ」と話した。

 公共機関の業績を水増しして、成果給を大盤振る舞いしたり、故意に業績を過小計上して脱税したり、政府の予算配分を多く受け取ったりするケースもある。これも全て国民が被害を受ける。

 これに先立ち、韓国農漁村公社は経営実績評価で高評価を得るため、14-15年に総額9637億ウォン規模の国策事業の工事が終了していないにもかかわらず、完成したかのように処理し、総理室に摘発された。

 韓国産業銀行は11年の営業利益を最大2443億ウォン水増しし、行員に成果給を上積み支給したことが監査院の監査で指摘された。

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