日本でラグビー・ワールドカップが今日開幕、アジアでは初

脱亜論を明治時代から推進した日本では富国強兵を追求するイメージと合致

チケット販売はすでに95%に

 20日に東京で開幕するラグビー・ワールドカップに日本列島が興奮している。アジアではじめて開催される今回のワールドカップは、日本対ロシアの試合を皮切りに11月2日まで日本全国各地で試合が行われる。大会には南アフリカ共和国やイタリアなど20カ国が参加し、合計48試合が予定されている。韓国は予選敗退で本戦には出場できなかった。

 北の北海道から南西部の熊本県に至るまで、日本全国12の競技会場で行われる今回のラグビー・ワールドカップで日本はお祭り騒ぎだ。試合のチケット180万枚のうち95%がすでに販売されたという。東京の銀座や六本木の飲食店では昨年のサッカー・ワールドカップの時と同様、日本の試合日程に合わせて応援しながら食事ができるよう準備が進んでいるという。

 日本人はラグビー・ワールドカップをアジアではじめて誘致したことに満足しているようだ。ラグビー・ワールドカップは1868年の明治維新以来、脱亜論を打ち出して「アジアのヨーロッパ」を目指してきた日本にとって特別な意味がある。明治政府はラグビーの母国とされる英国と1902年に同盟を結んだが、実はそれ以前から日本ではラグビーが盛んに行われていた。ラグビーで強く求められるチームワーク、犠牲精神、根気などは富国強兵を目指した当時の雰囲気とも合致していた。1920年代には日本全国に数千のラグビーチームがあったという記録もある。つまりラグビーは当時から日本でそれだけ人気があったのだ。

 このような伝統もあり、ラグビーは今も日本で人気スポーツの一つとされている。大学のラグビー選手は就職の際に企業も歓迎する人材だ。森喜朗元首相は早稲田大学ラグビー部出身で、政界にも数多くのラグビーファンがいるという。

 大会組織委員会によると、ラグビー・ワールドカップによる経済効果は4372億円で、特にビール販売に大きく影響している。ラグビー観戦に伴うビール消費量の増加に備え、キリンビールは横浜工場の生産量を今月は昨年に比べて3.4倍、来月は2.6倍に増やす計画だ。今回のラグビー・ワールドカップでは海外から50-60万人の観光客が訪れるとも予想され、「観光・日本」を世界に知らせる上でも大きなプラスになりそうだ。

 日本はラグビー・ワールドカップを2011年の東日本巨大地震が発生した東北地方復興のきっかけとしても活用する計画で、地震で大きな被害が出た岩手県の「復興スタジアム」と名付けられた競技場でも試合が行われる。またサモア代表のキャンプ地は事故が発生した福島原発からわずか50キロしか離れていないが、このキャンプ地選定にも日本は大きく関与した。

 ラグビー・ワールドカップに合わせて出場国の首脳たちも相次いで日本を訪れている。ラグビー強国ニュージーランドのジャシンダ・アーデーン首相は19日に東京で安倍首相と首脳会談を行った。アーデーン首相は20日の開幕式に出席し、21日に行われるニュージーランドと南アフリカ共和国との試合を観戦する。フィジーやサモアの首相も大会中に日本を訪問する予定だ。

 英国からはイングランドやスコットランドなどが上位に進出した場合、日本の徳仁日王の即位式に出席するチャールズ皇太子の日程が多少変わる可能性もあるという。読売新聞などによると、安倍首相も今回のラグビー・ワールドカップを積極的に活用する「ラグビー外交」に力を入れる考えのようだ。

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