▲韓国国防部(省に相当)が22日、慶尚北道星州のTHAAD基地に工事に使用する機器などの搬入を予告したことを受け、これに反発する地元住民らが星州郡草田面韶成里の橋の上で警察と衝突した。/聯合ニュース

 韓国国防部(省に相当、以下同じ)は22日、トラック31台を使って慶尚北道星州郡の米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)基地に工事に使用する機器などを搬入した。国防部が大型の機器などを陸路で星州基地に持ち込むのは、2017年にTHAADが臨時配備されて以来、今回が初めてだ。その過程でTHAAD配備に反対するデモ隊が基地の入り口を封鎖し、機器の搬入を妨害したため警察と衝突した。最終的に警察がデモ隊を解散させたため機器は搬入されたが、単純な工事にも反対勢力が大きく動いたことで、韓米間の溝はさらに深まる形となってしまった。

 米軍はデモ隊によって孤立した星州基地の再整備を当初から要請してきた。しかしデモ隊の妨害で陸路が使用できないため工事は進まず、昨年は臨時コンテナ施設をヘリコプターなどで空輸することもあった。ある韓国軍関係者は「かつてゴルフ場のクラブハウスだった建物を正式な工事もせずに使用してきたためあまりにも不便だ」として「米軍はこの問題について以前からずっと抗議してきた」と明らかにした。このような米軍の不満は、今月14日に開催された韓米安保協議会(SCM)の共同声明に明記された「星州基地THAAD部隊の安定的な駐留条件を整えるため、長期的な計画を取りまとめることにした」との文言にも反映されている。

 問題は今回の星州基地への機器搬入の際に表面化した対立が影響し、すでにギクシャクしている韓米関係が一層難しくなる恐れがある点だ。米側は星州基地の劣悪な環境について「兵士の人権」という問題にまで言及し抗議を続けているという。

 このような中で米国防総省は21日(現地時間)、ポンペオ長官が今月25日から30日までの日程でインド、スリランカ、モルディブ、インドネシアの4カ国を訪問すると発表した。韓国政府が求めてきたポンペオ長官の来韓が2回続けて実現しなかったのだ。これに先立ちポンペオ長官は今月7-8日にソウルを訪れる予定だったが、突然これをキャンセルし東京で開催されたクアッド(米国がインド・太平洋地域で中国をけん制するため推進する多国間安保協力体)外相会議にのみ出席した。韓国外交部はこの日「康京和(カン・ギョンファ)長官とポンペオ長官が21日と22日の2回、電話会談を行った」「(康長官は)近く米国を訪問する計画」と明らかにした。

 ポンペオ長官がアジアを歴訪する際に韓国が除外されるのは異例で、米中間で綱引きを続ける韓国への不満を表明したとの見方も出ている。クアッドやクリーンネットワークといった中国排除の動きへの参加を求める米国の要求は一層強まっているが、韓国政府は今なお明確な態度を示していない。

 韓国政府の内外からは「SCMでの共同記者会見キャンセルという異例の事態による波紋が続く中、悪材料ばかりが積み上がっている」との指摘も出ている。現政権は任期中の「2022年戦時作戦統制権移管」への未練が残っているが、米国では「事実上不可能」との見方が支配的だ。防衛費分担金問題も同じく1年以上にわたり決着がつかず平行線をたどっている。米下院軍事委員会のアダム・スミス委員長はSCMで「在韓米軍を現在のレベルに維持する」との文言が含まれなかったことに懸念を表明し「非常に重要な同盟を弱めている」と指摘した。

 ポンペオ長官は、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が先月の国連総会で言及した終戦宣言は、北朝鮮の核放棄なしに可能なのか」との質問に「北朝鮮の非核化には、南北間の状態を変更する文書(終戦宣言)も明らかに含まれている」との考えを示した。「非核化前の終戦宣言には応じられない」とする従来の米国の立場を繰り返したもので、韓国与党などが主張する「先に終戦宣言」との主張に対し、反対の意向を明確にしたものと受け取られている。

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