文在寅(ムン・ジェイン)大統領が6日の顕忠日に行った追悼演説で「国民統合」を呼びかけるため金元鳳(キム・ウォンボン)に言及したことを受け、翌7日に韓国の政界は完全に2つに分かれてしまった。保守系の自由韓国党と中道系の正しい未来の野党各党は、文大統領が金元鳳を「左右統合のシンボル」「韓国軍のルーツ」などと評価したことに対し「大韓民国のアイデンティティを破壊した」「護国英霊を冒とくした」などとして激..
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文在寅(ムン・ジェイン)大統領が6日の顕忠日に行った追悼演説で「国民統合」を呼びかけるため金元鳳(キム・ウォンボン)に言及したことを受け、翌7日に韓国の政界は完全に2つに分かれてしまった。保守系の自由韓国党と中道系の正しい未来の野党各党は、文大統領が金元鳳を「左右統合のシンボル」「韓国軍のルーツ」などと評価したことに対し「大韓民国のアイデンティティを破壊した」「護国英霊を冒とくした」などとして激しく反発した。これに対して与党・共に民主党は「色分け論」「イデオロギー対立を煽っている」などと反論し、正義党は「金元鳳を攻撃すれば親日派」とまで言い出した。
政界からは「文大統領の一言が、モーセが紅海を2つに分けた時のように政界を完全に分けてしまった」「国民統合に向けたメッセージとすべき顕忠日の演説が、逆に国民を分裂させた」などの指摘が相次いでいる。自由韓国党のナ・ギョンウォン院内代表は「文大統領こそが結局自分の側と相手の側を分ける政治を行っている」「分裂と葛藤を引き起こす手法によって、政界と国民に『あなたはどちら側か』と問い詰めている」などとした上で、文大統領に謝罪を要求した。
ナ院内代表は、文大統領が三・一運動100周年記念式典でだしぬけに「アカという表現は親日残滓(ざんし)」と言いだしたことや、また5・18(1980年5月18日の光州事件)記念式典で「独裁者の後裔(こうえい)」などと発言したことを取り上げ「保守右派が絶対に受け入れられない発言で怒りと非難をあおり立てている」とも指摘した。かつて国会国防委員長を歴任した同党の金学容(キム・ハクヨン)議員とキム・ヨンウ議員は「大韓民国のアイデンティティを破壊する発言だ」「歴史について勝手気ままに語るな」などと非難した。
正しい未来党の孫学圭(ソン・ハッキュ)代表も「文大統領に国民統合の意志があるとは全く考えられない」「顕忠日に顕忠院で行った発言としてはあまりにも不適切だ」と指摘した。同党の呉晨煥(オ・シンファン)院内代表も「護国英霊に対する冒とくだ」と述べ、河泰慶(ハ・テギョン)最高委員も「金元鳳が韓国軍のルーツであれば、全斗煥(チョン・ドゥファン)は共に民主党のルーツになる」と指摘した。金元鳳への叙勲問題に強く反発してきた同党の池尚昱(チ・サンウク)議員は「文大統領の任期中に金元鳳に建国勲章を与えるよう指示し、そのガイドラインを示したものだ」「これは大韓民国の国としてのアイデンティティ見直しの完成だ」などと述べた。
旅客船「セウォル号」と関連する発言が問題となり議員辞職した自由韓国党の車明進(チャ・ミョンジン)元議員は「口を持つ議員は1人でも叫ぶべきだ。『文在寅はアカだ』と」とフェースブックに書き込んだ。これに対して共に民主党の李海植(イ・ヘシク)報道官は「自由韓国党から永久に追い出せ」とした上で「文大統領の発言は歴史的事実であり、光復軍に対する正当な評価だ」「金元鳳が北朝鮮に渡った後の行動を引き合いに出し、光復軍による活動自体をイデオロギーによって色分けすることこそ歴史のわい曲だ」と反論した。
共に民主党の李仁栄(イ・インヨン)院内代表は記者団の取材に「大統領のメッセージが我々の歴史の統合、国民と社会の統合を目指すメッセージだったのか、あるいは自由韓国党が無理矢理難癖をつけ分裂のメッセージとしていないか、自らを省みてほしい」とコメントした。同党の朴洸温(パク・クァンオン)最高委員は「金元鳳先生は日帝が世界史的懸賞金をかけた独立運動のシンボルだったが、解放された祖国でも日帝植民地に荷担した反逆者から弾圧を受けたすさまじい歴史の犠牲者になった」「親日が抗日の価値を侮辱する痛みと悲しみを克服すべき時だ」と主張した。
正義党のチェ・ソク報道官は「金元鳳先生の再評価をめぐって自由韓国党などが反発するのは、結局は金元鳳先生のような人物を攻撃してきた盧徳述(ノ・ドクスル)のような親日派の行動を正当と抗弁するようなものであり、自分たちのルーツが親日派であることを自白するようなものだ」として自由韓国党を攻撃した。盧徳述は日帝時代と解放直後の警察官で、独立運動家などを逮捕・拷問した人物だ。
これら一連の激しい論争を受け大統領府は「追悼演説のポイントは、政派やイデオロギーを乗り越えて統合を呼びかけるという趣旨だった」とコメントした。大統領府のある関係者は記者団の取材に「(文大統領は)愛国においては保守も進歩(革新)もないという趣旨で語り、その歴史的な実例として(金元鳳について)言及した」「臨時政府もイデオロギーや政派を越えて構成されたし、白凡逸志にも金九(キム・グ)先生による大同団結の呼びかけに金元鳳が応えたことが記載されている」と主張した。白凡逸志とは金九の著書だ。
「文大統領は金元鳳の復権と叙勲を考えている」との指摘にこの関係者は「金元鳳に対する評価は歴史学者がやるべきことで、叙勲は手続きと基準に基づいて行われる。大統領が発言したからといって決まることではない」との考えを示した。その上でこの関係者は「(文大統領は)統合された光復軍が国軍と韓米同盟のルーツとはっきり発言した」「金元鳳がルーツだと(解釈)するのは飛躍だ」などとも説明した。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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