雇用労働部(省に相当。雇用部)が5月28日、「2020年全国行政優秀事例競進大会」を開き、コロナ19関連の行政処理5件を優秀事例に選定したと発表した。これは、韓国政府が部処(省庁に相当)ごとに毎年、模範となる行政処理事例を選んで内部で授賞している行事だ。担当者らは人事評価での優遇や追加の成果給にあずかることができる。だが、今年の雇用部の選定結果を見るとめちゃくちゃだ。
雇用部は、今年1月末に零細..
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雇用労働部(省に相当。雇用部)が5月28日、「2020年全国行政優秀事例競進大会」を開き、コロナ19関連の行政処理5件を優秀事例に選定したと発表した。これは、韓国政府が部処(省庁に相当)ごとに毎年、模範となる行政処理事例を選んで内部で授賞している行事だ。担当者らは人事評価での優遇や追加の成果給にあずかることができる。だが、今年の雇用部の選定結果を見るとめちゃくちゃだ。
雇用部は、今年1月末に零細商工業者や感染脆弱(ぜいじゃく)労働者などを対象に、PM2.5対策用として備蓄しておいたマスク152万枚を無料で配ったケースを優秀事例の一つに挙げた。韓国政府はその後、追加予算でマスク365万枚を購入し、メーカーなどに追加で配ったという。ほかの目的で備蓄していたマスクを必要な場所に素早くきちんと配り、労働者の健康を守った-というのが選定理由だ。
雇用部の説明が正しいかどうか、時計を戻して「マスク大乱」が起きていた今年1月を振り返ってみよう。雇用部がPM2.5対策用マスクを無償で配りたいと発表したのは1月31日で、数量は72万枚にすぎなかった。零細商工業者や伝統市場には30万枚を配ったが、1店舗につき1枚だけという原則を掲げなければならなかった。そのとき会った市場の商人らは「マスクをこんな1枚ずつ配って、一体何の役に立つのか」と言っていた。
素早く配ったわけでもなかった。72万枚が実際に使用者の手に届くまで3週間かかった。各部処の傘下にある公団から地方組織などへマスクを届け、再びこれを配るのに時間がかかったからだ。追加で80万枚配ると決定したのは1カ月後の2月24日で、配布は3月13日にようやく終わった。
その後、韓国政府が追加の購入予算を確保したのは3月5日。マスク購入に1カ月かかったせいで、4月2日にマスク365万枚の配布が始まり、5月初めにようやく終わった。
人事革新処が定めた積極行政の意味は「公務員が業務慣行を反復せず、創意と専門性に基づいて最善の方法を探り、先んじて国民の不便を解消する行為」というものだ。マスク大乱が起こっている状況で3週間、1カ月かけて1、2枚ずつ配ったことが、これに当てはまると言えるだろうか。
首をかしげてしまう「優秀事例」がもう一つある。雇用部は、コロナ問題で業務が激増した雇用センターの業務要員再配置を挙げた。休業に入った企業へ人件費を支援する雇用維持支援金事業はコロナ拡大に伴って急増し始め、昨年の44倍を超える申請が集まったからだ。だが、こうした問題を解決するため業務配置を調整するのは、政府として当然やるべきことではないのか。
優秀事例を挙げてこそ積極的な行政を誘導できるという韓国政府の趣旨には共感する。それでも、賞まで与える行事なのだから、一般国民の目線で見ても「公務員は本当に立派な仕事をしたな」という思いを抱けるものであるべきではないだろうか。
郭来乾(クァク・レゴン)社会政策部記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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